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ハンスとロビンの出会い③

またも一時間遅れましてすみませんっ!ハンスロビン過去編これにて終わりです!


「ああ~......これは......職人さんに頼まないといかんね......」

 オレ達の話を聞いた母さんは壊れた箇所を屈んで確認している。


「グスッ......ホ、ホンマすんません.......お、オレがもっとちゃんと考えてれば......すみませんンンッ」

 ロビンは母さんの横で半泣きで立っている。

 

「だ、大丈夫よロビン。職人さんがすぐに直してくれるけんね。ね、ハンスそのくらいの余裕ぜんぜんあるもんね」

 問われたオレは家庭内の経済状況を考えると胡麻化しの返事ができずに母さんから目を逸らしてしまった。

 それを見たロビンはさらに涙ぐむ。


「オ、オレ......ホンマ大変な事を......っ!グズッ」

「こら、ハンスっ。ロビン、大丈夫やけん、ねっ、泣かんでいいとよ~」

 

 母さんは大丈夫、とは言うものの修理代を出すと貯金が底をついてしまうだろう。

 とはいえ我が家にはこのベッドともう一つ、母さん一人がギリギリ寝れるくらいのサイズのベッドしかない。オレ達が三人で寝ているこのベッドが使えないと困るのは確かだ。


「と、とりあえず職人さんに聞かない事にはわからんたい。ハンス、商店街にあるシュライナ―さん、わかるね。ちょっと聞きに行ってくれる?」

「わ、わかった......」

 オレは家を出て、商店街の一角に木工工房を構えるシュライナ―さんを尋ねた。


 オレの話を聞いたシュライナ―さんは「ちょっと待ってろ」とだけ言って、工房に引っ込んだかと思うと、工具箱を持って出てきた。

「お前の家に案内しろ」

「わ、わかりました」

 必要最低限不愛想な言葉遣い。栗毛の短髪に、大きくて屈強な身体、目つきの悪さも相まってシュライナ―さんはいつも威圧感がある。

 オレは、言われた通りに来た道を戻って家に連れて行った。



「ただいま~。シュライナ―さん、連れてきたよ」

「おかえりハンス。あら、来てくれらしたとね」

 母さんはキッチンで食事の準備をしながら驚いた顔をしている。

 ルナは母さんの後ろにあるテーブルに座って一人で人形遊びをしている。



 ロビンはというと奥の部屋で一人、どうにか直せないか試みているようだ。しかし、8歳児の小柄な身体では壊れたベッドの本体部分を持ち上げることもできず、一人で四苦八苦している。


 シュライナ―さんは家に入ると、奥の部屋を見て母さんに尋ねる。

「壊れたベッドというのは......あれですか」

「はい.....子供が.ベッドで飛び跳ねて、ベッドの脚と本体部分の間が壊れてしまって......」

 母さんの話を聞いて、こくり、と頷いたシュライナ―さんは奥の部屋へと入り、ロビンの後ろに立って言う。


「そこの少年、少しどいてくれ」

「へ?」

 いきなり声をかけられたロビンがシュライナ―さんの方へ顔を向けると、シュライナ―さんはロビンの横に座り壊れた箇所を確認する。


「......」


 言われた通り、シュライナ―さんの後ろへと離れたロビンは恐る恐る尋ねる。


「......おっさん、直せるん....?」


 力の無い問いにシュライナ―さんはロビンの方を向かずに壊れた箇所を折りたたみ物差しを広げながら図っている。


 シュライナ―さんはしばらく何も答えなかった。

 その沈黙の意味を否だと捉えたロビンは再び泣き出しそうになったところ、シュライナ―さんが口を開いた。


「......当たり前だ」

 そう答えたシュライナ―さんは立ち上がると玄関の方へと向かう。ロビンはハッとしてそんなシュライナ―さんを見上げた。


「結合部のほぞが衝撃で折れただけなので、その木材ごと入れ替えて、もう一度接着させればすぐに直りります。材木を取りに一度戻りますが、すぐにまた戻ってきます」


「わかりました.....ご苦労おかけします」

 シュライナ―さんは母さんを見て一度頷くと、扉から出て行った。


 しばらくして再び戻ってきたシュライナ―さんは、一本の綺麗な丸太を持ってきた。両端には既に差し込むためのほぞが彫られている。


 シュライナ―さんは折れた差し込み箇所をペンチで穴から抜き取り、何度かノミで削るなどして接合部を調節した後、持ってきた代替用の木材と入れ替えて接着剤で接着させるとあっという間に修理を終えた。


 その様子をずっと見ていたロビンはぼそりとつぶやく。

「............魔法みたいや」



「....終わりました」

 シュライナ―さんは工具を持って立ち上がると、母さんにそう言った。

「ありがとうございます、シュライナ―さんっ。まさかこんなに早く終わるなんて。......それでおいくらお渡しすればいいでしょうか......」

 と母さんが申し訳なさそうにして財布からお金を出しながら尋ねると、シュライナ―さんが無表情で母さんに言った。


「......お代はいりません......」

 それを聞いた母さんは驚く。

「そんなわけにはいきませんっ。払わせていただきますけんっ!」

 

 シュライナ―さんは真顔のまま沈黙していたが、少し困ったように顔を掻いた。


 そしてシュライナ―さんはテーブルに置いてあったリンゴを見つけると手に取った。


「.....では、このリンゴで。木材はウチにあった余りを使っただけですし、気にしないでいただきたい。では」


 そう言って、シュライナ―さんは帰って行ってしまった。


「あ、ありがとうごいましたっ!」

 母さんは慌ててシュライナ―さんを追って外へ出ると深く頭を下げた。オレも一緒に母さんの隣で頭を下げた。









「それがきっかけだたんだろうな。アイツは次の日にシュライナ―さんの工房場所をオレから聞いて、毎日毎日、シュライナ―さんの所に行って弟子入りをお願いしたんだ。それでアイツのしつこさに観念したシュライナ―さんが働くなら徹底してやれって言って、アイツは住み込みで働くことになったんだ」


 ハンスはかずさを見て話を続ける。

「今思えば、シュライナ―さんは(うち)の事情もわかってて、ロビンを住み込みで働かせたんだろうな。寡黙で怖そうな人だけど、親切で優しい人なんだよな」

 

 かずさはその話を聞いて満足気に笑う。

「ハンスのお母さんの話も聞けて......このお話聞けてよかったよ。ありがとう、ハンス」

 

 不意打ちの笑顔にハンスは窓の外に目線を向けてしまう。

「いや......こちらこそ聞いてくれてありがとうな......。お、見えたぞ、コルツの街だ」

 たまたま見た外に目的地であるコルツの街が見えた。


「どこどこ?」

 窓の外をのぞき込んだ二人は、短い旅の始まりに心躍らせた。


ここまで長らく読んでくださった皆様、大変申し訳ないのですが、筆者は三月いっぱいまでお休みをいただきます。というのも、人生をかけた試験が近く、精神的にも時間的にも余裕がないためです......。続きを楽しみにしていただいている(と私が思いたい)皆様には本当に悪いことをしているな、と感じつつ、でも私も手を抜けない......いい大人ですが、気持ち的に受験生並みの戦闘態勢です......。四月上旬に必ず戻ってきます!その時はまたよろしくお願いします!ではまた!

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