ハンスとロビンの出会い②
投稿に時間も遅れてすみません!よろしくお願いします。
オレたち家族とその茶髪の男児は一緒に暮らすようになってから二週間ほどが経った。
最初の数日はこちらの指示に従ってくれるものの、男児が言葉を発することは無かった。
名前すら知らない。だからオレはあいつを『茶髪』と呼ぶことにした。
「茶髪、飯の時間だぞ」
「おい茶髪、買い出しに行くぞ」
「茶髪、井戸の水汲みについて来てくれ」
最初のうちはおとなしくついてきてくれたが、『茶髪』と呼ぶ度に徐々にそいつは不満げな表情をしてくるようになった。
母さんも、ルナも『あなた』とか『おにいちゃん』としか呼ばないが、オレは呼び名が無いと困るわけで。
「茶髪、もう一つの桶取ってくれ」
オレ達は早朝に二人で水汲み用の桶を二つ持って共同井戸に来た。
オレは水を汲んだ桶をなんとか引き上げて、もう一つの桶に水を汲もうと茶髪に取ってくれるように頼んだのだがいつまで経っても桶が渡されない。
不自然に思ったオレが後ろを振り返ると茶髪が不満げな顔をして立っていた。
「............やない.......」
小さな声だが、わずかに口を動かして何か言おうとしている。しかし小声過ぎて聞こえない。
「すまん、聞こえなかった。なんて言ったんだ?」
オレはわざとらしく耳に手を当ててもう一度聞いた。
すると大きく深呼吸した茶髪は急に大声を出した。
「オレの名前は『茶髪』やないっ!ロビンや!!.......オはッゲホッ...ゴホゴホ.....」
わざともう一度少しでも大きな声を出させてやろうと思ったが急にこんなに大きな声を出されると思わんかったオレは思わず目をむいた。
急に大声を出したからかロビンと名乗った茶髪の男児は目の前で盛大に咽ている。
そして、まだ少し咽ている『ロビン』に手を出して言う。
「なら最初から言えよ、ロビン」
ロビンは自身の横に置いてあった桶を手に取ると、ロビンに素直に手渡した。
「......それは......ホンマすまんと思うてる......」
オレはもう一つの桶を井戸に入れ、水を汲みながら答える。
「これからはちゃんと母さんたちにも返事しろよ」
「......ああ」
オレは今度は水が入った桶をロビンに手渡して、オレ達は家に戻る。
「お前よく見たらそばかすもあるな。呼び名は『茶髪』じゃなくて『そばかす』でもよかったかぁ」
「全く良くないわっ!どっちも失礼やと思わんか?!」
「お前、結構話すな......ずっとこの調子だと困るが......」
「なんやそれ。オレはなぁこれが通常運転なんやっ!」
そんな話をして俺たちが家に入ろうとすると、ちょうど家の中から母さんが出てきた。
「あら、あなた達仲良くなったとねっ。母さん嬉しか~」
そう言って母さんはロビンの前に屈むと笑顔で言う。
「じゃあ改めて自己紹介せんとね。あなたを連れてくるときに一度名乗ったけど、また言うたい。私はミラ。あなたの名前は?」
おっとりした優しい言葉で、少したれ目がちな目を優しい笑顔で細めたミラはロビンに話しかける。ミラもロビンが話し出すのを待っていたのだろう。
「オレの名前はロビン......です。ミラさん......助けてくれて、ホンマにありがとうございましたっ」
深く頭を下げたロビンの姿に、自分も子供にしてはそれなりに大人びていると自覚していたオレも、こいつも案外しっかりしてるのかもな、と内心思った。
「はい、よろしくね~」
それからはオレとロビン、ルナの三人で毎日遊ぶようになった。
母さんが仕事に出ている間は家の家事をしたり、森の中に食事の足しになりそうなものを拾いに行ったりして楽しく過ごしていた。
そんなある日。
「あああーーっ!」
母さんが帰ってくる前に夕食の準備をしていると、隣の部屋でルナと遊んでいるはずのロビンの大きな声がした。
「どうしたっ?!」
何か大きな怪我でもしたのかと思ったオレは慌てて別室の扉を開けて部屋を見ると、そこにはベッドの前で項垂れて座り込むロビンと足の部分が本体と離れ、傾いたベッドがあった。
ルナは心配そうにロビンの後ろで背中をさすってあげてる。どこで覚えたのか、人を労わるとは優しい子だ。
オレもロビンの隣でベッドの状態を確認する。
「これは......職人に頼まないとだろうなぁ......母さんにも聞いてみよう。というか何してたんだ?」
ロビンは青ざめた顔で答える。
「ルナちゃんがベッドの上で飛び跳ねとって......楽しいから一緒に飛ぼう言われて......ちょっと考えればわかるはずやのに......オレ馬鹿やぁ......ホンマごめん.....この家の物やのに......」
いつもの元気な様子からは想像がつかないほどの落ち込み様でこちらもどう声をかけていいか困るが、いったん落ち着かせようとキッチンがある部屋へと立ち上がらせて運ぶ。
「ま、まあ、起きたものは仕方ないし......いったん茶でも飲むか......?」
オレの声掛けにも反応せず、ロビンは座らせた椅子の上で固まってしまった。
母さんは怒らないだろうが......さて、あのベッドがないと困るし、とはいえ内に修理代を出せるお金もないし、どうしたもんか......。
オレが考え込んでいると、家の扉が開き、母さんが帰ってきた。
「ただいま~。どげんしたと?皆、深刻な顔して」
母さんはキョトンとした顔で首を傾げた。
次話はおくれないようにします。0時頃投稿予定です。よろしくお願いします。




