旅立ちの前に
かなり短めです。キリがよかったので.......。
「じゃあまた、明後日に。エレナさんたちも」
「何かお土産買ってきますね」
食堂でハンスとかずさは帰り支度をすまして、出口の前で店主であるレッカーとエレナに挨拶をする。
「おう!ロビンの応援と、ついでに軽く観光も楽しんで来い」
「初めての汽車の旅は楽しいと思うわ。ゆっくり楽しんできなさい」
「はい、ありがとうございます」
ハンスが返事をして、かずさも一礼して扉を出ていく。
店を出た二人は、ぽつぽつとランプ灯が照らす広場を歩いていく。
かずさは楽しそうに明日の事について話し出す。
「明日楽しみだね。機関車の中ってどんな感じかなぁ」
「そうだな。外から見てたけど、向かい合って座る感じなんだろうな。細かいことは乗ってからじっくり見てみるか。......なぁ、かずさ」
呼ばれたかずさは隣で少し上にあるハンスの顔を見上げる。
ハンスは少しだけ立ち止まってから息を吸って、かずさを見つめる。
かずさは不思議そうにハンスを見返す。
「明日、コルツの街から帰った後に話したいことがある」
「う、うん.......どうしたの?そんなに大切な事なら今話してもらってもいいよ?」
ハンスの妙に真面目な態度に、かずさも少し気圧されながらも気遣いのつもりでそう聞き返すとハンスは激しく首を振った。
「い、いや、今はダメだっ。待ってくれ......」
「そ、そっか。わかった」
ハンスの激しい否定に少し驚きつつもかずさは頷いて穏やかな優しい笑顔で答える。
「待ってる。帰ってきたら話してね」
その笑顔を見て、ハンスは今すぐ抱きしめたい衝動を抑えながら答える。
「ああ。必ず、話すから」
冷たい秋の夜空。満点の星空が二人に降りかかる。月はちょうど城に隠れて見えない。
ひと際冷たい夜風が頬に突き刺さる。二人はいつもより少しだけ距離を詰めて、身体が触れそうな距離を並んで歩いた。
さて、大変お待たせしました。来週末からやっと時間ができるので、一気に三章進めてまいります。
年末年始、二人のを見届けていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします。




