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消せない思い出をキミに  作者: 日向千秋
第三章 コンテスト編
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リュシアン再び

毎度投稿遅くてすみません!そして、今回は文も少なくて申し訳ない!よろしくお願いします。


 慌ただしい夜営業を終えたハンスとかずさは帰り道を歩いていた。

 他愛のない雑談をしながら二人はいつもの帰り道である、シェーネ川に架かる橋を渡る。

「ロビンのコンテストまでもうすぐだね」

「そういえば、そうだったな」

 午後にあったポーラとリュシアンの事を考えていたハンスは、幼馴染の一大イベントがすっかり頭から抜けていた。

「ハンスは機関車のチケットもう取った?」

「いや、当日買うつもりなんだが......何かあるのか」

 隣を歩くかずさは楽しそうに笑うと、ハンスを見る。

「チケット見てみたかっただけ」

「そ、そうか......」

 最近では耐性がついてきたものの、不意のかずさの笑顔に相も変わらず胸は高鳴る。


 かずさや自分の将来について少し考えたのもあって、ハンスは隣を歩くかずさに、少しだけ彼女の旅について聞いてみようと思った。

「答えたくなかったら言わなくて良いんだが......アンタの旅って急ぎの旅じゃないのか?」

 その問いを聞いたかずさの表情から一瞬笑顔が消えたように見えたーー

 が、今はまた目の前で微笑んでいる姿を見ると、見間違いだったのかと思う。

「急ぎ......では無いけど期限はあるかな」

 そう言ったかずさはハンスを置いて少し前へと駆けて行った。

 そして振り返って言う。

「これ以上は言えないなー!」


 そう答えたかずさにハンスはこれ以上尋ねられなかった。

 言葉通り、かずさはこれ以上言いたくないのだろうからーー。

「わかった、もう聞かない」

 

 ハンスはこれ以上かずさの事情には踏み込めない。

 本当はかずさの事を全部知りたいのに、知れば目の前の愛しい少女が目の前からいなくなる気がしたからーー。





 翌朝。一気に冷え込んできたせいか、川の上に霧が発生し、シェーネ川はその姿を変え、大きな霧の川となっていた。

 幻想的な景色はゾンダーベルクの街をまた違った美しさで彩る。

 ハンスとかずさはショールを羽織り、橋の上を足早に歩く。

 

 すると橋の上に画家らしき若い男が一人、橋から見える城の風景画を描いていた。

 革のコートを羽織っている画家はイーゼルに立てかけられたキャンバスの前に立ち、何度も風景を見返しキャンバスの上で筆を動かしている。

 その姿を見たハンスはあることに気づく。栗毛を団子にして後ろで結っている後ろ姿は昨日見たリュシアンにそっくりだ。


 ハンスは通り過ぎながら、その画家の顔を除き見ると、思った通りリュシアンだった。


「やっぱり。昨日ぶりです、リュシアンさん」

 声をかけられたリュシアンは筆を止めてハンスの方に目を向ける。

「お、ハンスちゃん」

「ちゃん付けはやめてください......」

 初めて見る人物にハンスの知り合いか、とかずさはキョトンとした顔でハンスの横に立っていた。


次回はまとまった時間が取れないので、土曜日の投稿予定です。よろしくお願いします。

もちょっと話進めます!

読んでくださる人、本当にいつもありがとうございます。

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