9話 第三神滅「恋尊交換」
「お前が神滅者?」
「そうだ。俺は神滅者だ。・・・証拠を見せてやろう」
堕畜裏はそう言うと服を脱ぎ背中を見せた・・・
そこには確かに「ラズベリー」の模様が入っている
「いや~それにしれも、すごいね。世界で10人しかいない神滅者が今ここに2人いるなんて」
堕畜裏がそんなことを言っているが、僕は今、疑問に思っていることがある。
なぜ、こちらを見ている子供たちは、首が斬れている女の子を前にして、まるで女の子が見えないような顔をしているんだろう...
「君が疑問に思っていることを教えてやる。俺の神滅「恋尊交換」は俺に惚れている奴、俺のことを尊敬している奴に俺の死を身代わりにすることができる」
こいつ...
「そして、「恋尊交換」の影響で死んだ人間は、この世界に存在しなかったことになる。向こうで見ている子供たちは、俺の横に居る女の子を見えていない。そして、覚えていない」
「お前は自分の死の身代わりを作るために子供を誘拐しているのか...?」
「その通り。それに子供だけではない。俺はホストもやっている。そこで俺に惚れた女は1つの身代わりとなる」
堕畜裏は更に・・・
「だが、「恋尊交換」には欠点がある。「恋尊交換」は普通の人間にしか有効ではないんだ。虫や動物には「恋尊交換」は影響がない。」
普通の人間にしか有効ではない...
「なるほど。「恋尊交換」は神滅者には影響がないということか」
「あぁ、だから神滅者は俺としては、関わりたくないんだ。メリットがないんでね」
堕畜裏はそう言うと、子供たちのいるガラス越しの部屋へ行こうとした。
「なぜお前は敵の僕に自分の神滅の能力を話す?」
堕畜裏は少し考え、笑って応えた。
「これから始まる戦い。俺たち、キルが優勢なんでね。あなたたちキルkillが少しでも、俺たちと対等に戦えるようにするためですよ」
これから始まる戦い...?
「戦いとは何のことだ?」
僕の問いに堕畜裏は・・・
「おや、知らないのですか?まぁ俺もつい最近聞いたんですよ。うちの未来士にね」
うちの未来士...キルには未来士がいるのか...
「最後に一つ、「恋尊交換」は自分だけでなく、他人も生き返せることができる。まぁ、かなり身代わりを使いますから切り札ですね」
堕畜裏は最後に爆弾を落として、子供たちがいるガラス部屋へ入った。
他人を生き返せることができる。
確かに、これは僕たちにとってかなり厳しい戦いになるな・・・
僕はそんなことを思いながら、堕畜裏が入って子供たちが笑顔になったのを見て、子供たち救出作戦は失敗に終わった。