20話 キルkill本部への帰り道
「ん」
目を覚ますと僕は車の中だった。あぁそうか、豊果に背負ってもらったのか。
「起きましたか。えりかさん」
行きと同じように豊果が僕の横に座っていた。
「ありがとう」
1度眠ったから朝鮮朝顔の毒の効果が一切なくなった。車に乗っているキルkillの隊員は全員寝ている。初めての対人戦で疲れたんだろう。僕も・・・
「えりかさん。朝鮮朝顔の毒は大丈夫ですか?」
昔を思い出しそうになったところで豊果が聴いてきた。
「あ、あぁもう毒は大丈夫だよ」
僕が豊果の質問に返答したら豊果は笑って・・・
「さすがです」
と返してきた。何が流石なのかは分からないがまぁ受け取っておくことにした。
あ、朝鮮朝顔の毒で思い出した。朝鮮朝顔の毒にやられた渚はどうしたんだろう。疑問に思ったので、豊果に渚がどうなっているか聴いてみた。
「渚はどうなったんだ」
「渚さんはあの後車まで運びましたよ。そして走ってあなたの所に来たんです」
「渚を一人にしたら危ないだろう」
女の子、しかも毒が回ってまともに歩けない女の子を1人にするなんてこいつは何を考えているんだ。
「まぁ、俺も初めはそう言ったんですよ。しかし渚さんがですね・・・」
・・・・・・
・・・・・・
『死ねぇ!!』
車に渚さんを乗せようとした時、弱キャラのようなセリフを吐いて渚さんをお姫様抱っこしている俺にキルの奴らが斬りかかってきた。
俺は渚さんを両手から左腕に乗せ替え、右手で剣を抜き斬りかかってきた敵を斬った。それと同時に、斬りかかってきた敵が死角で見えなかった銃を構えた敵が銃の引き金を引き発砲してきた。
弾丸は俺が斬った敵の体を貫通し、俺に向かってきた。俺は弾丸を避け次に斬りかかってきた敵を斬ろうとしたとき、敵の体から弾丸が出てきた。俺はそれを本当にギリギリで受け流した。もう少し反応が遅かったら、ダメだったかもしれない。
そして思った。キルは目的のためなら生きている仲間を目的のために殺すことができる。死んだ人間ならまだしも、まだ生きている人間を殺すなんて・・・改めてキルは最低最悪の集団だと思い知らされた。
『お前ら、皆殺しだ...』
そこからは一瞬だった。斬りかかってくる敵と銃を持っている敵を次々に斬っていったら、いつの間にかその場には死体の山があった。
『ふぅ~』
やっぱり戦闘は楽しいな。俺の口元は笑っていたと思う。
それから、渚さんを車に乗せた。
『それでは渚さん、皆が来るまでゆっくりしておいてください。俺が守りますので』
それに俺が居なくともえりかさんが居ればここは落とせるでしょう。
・・・しかし物足りないな。もう少しゆっくり戦うべきだった。・・・いや、渚さんのためにも少しでも早く戦闘を終わらせるべきだったでしょう。俺がそう考えていると・・・
『いえ...らい...らぁ...さん...は...はぁ...い...ってくだ...さい…』
と、車の椅子に倒れている渚さんがそんな言葉を言った。
『・・・行きませんよ』
この状況の渚さんを置いていけるわけがない。敵がまた来るかもしれないこの状況で・・・
『お...ねがい...で...す…』
・・・これ以上渚さんに無理して話させるわけにはいかない。だが置いていくのも・・・
『わたし…ひと...り...のために...らい...らぁ...さんが...ぬけ…るの...は...』
『俺が居なくても勝てますよ』
『・・・おねがい…しま...す…』
今まで目をつぶりながら話していたが、先ほどの一言は目を開けてこちらを見て言った。
『・・・分かりました』
・・・・・・
・・・・・・
「っていう流れがあったんですよ」
「それでも置いていくか・・・」
「あの渚さんの意思には逆らえませんよ」
意思ね・・・
キル電を見るといつもどうり10時過ぎ。
「後どのくらいで本部に着く?」
「・・・11時40分くらいですね」
豊果がキル電を見て言った。
「後1時間40分か・・・」
「もう一回寝ますか?」
「いや、寝ないよ」
僕がそう言うと豊果は・・・
「じゃあ、俺寝ていいですか?」
「寝てなかったの?」
「そうですよ。皆が寝ている時にキルの襲撃でもあったらどうするんですか」
確かに襲撃されるかもしれない・・・
「じゃあ、豊果は寝ていいよ。僕が起きとくから」
「はい、お願いします」
豊果そう言って目をつぶり眠った。
・・・起きとくと言ったものの、こう何もしないことがないと眠くなってしまう。
・・・・・・
・・・・・・
『えりか、怪我をするのはいいがほどほどにな』
『なんで?お父様!』
私がいつもどうり体中怪我だらかで剣の修行から帰って来た時にお父様は言った。
『「黄薔薇」はね、「身体的」なことは回復してくれるが、「精神的」なことは回復しないんだ』
『「精神的」?』
『そうだよ。「精神的」と言うのは心のことだ。体は回復しているが心には「痛み」が残っている』
私はお父様に説明してもらったがよくわからなかった。
『分からないよ...』
『まぁ、怪我はほどほどにと言うことだよ』
・・・・・・
・・・・・・
「怪我はほどほどに...」
僕の口から無意識にその言葉が出た。




