2話 孤独の天災
この世界には「キル」という殺人組織がある。
神滅者撲滅戦争後に、世界の復興中の裏で密かに創られた「キル」は、「キル」のボスが『ダリア』になるために創られた組織。
「キル」は目的のためならば、国一つでも滅ぼせる力と滅ぼせる意思を持っている。実際にこれまでに国を二つ滅ぼしている。
「キル」に失敗という二文字はない。いや、あってはならない。
それが、それだけが、殺人組織「キル」の唯一の「誓約」なのだ。
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この世界には「キルkill」という組織がある。
神滅者撲滅戦争後に、世界復興の中心となった「アキレア」。
本部を世界の中心である「アキレア」に置き、世界各地に支部がある。
「キルkill」は国家に認められている、国家公認のキルを滅ぼすためだけの組織。
「キルkill」は殺人組織「キル」を抑制・・・いや、殺すために創られた。
それが、「キルkill」という名前になった理由だからだ。
(治安維持や犯罪防止のためにも創られた)
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仕事を終えた「キルkill」"序列1位" 二つ名「孤独の天災」乃薔薇えりか《ノバラエリカ》は自宅で死んでいた。(倒れていた)
「腹…減った…」
家に帰って僕の至宝の1つである「ごはん」を食べようとして冷蔵庫を開けると、中には求めていた物が何もない。買いに行こうとしても足が動かない。腹も減って頭が機能していない。
詰んだ…
キル電があれば「御伽」を呼べるのに・・・
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あれから、一時間経ったころ、えりかは三途の川を眺めていた。
「やっぱり、いいな、ここは…」
空は晴天、きれいな青色の海、心地良い風、えりかは独りが好きだ。
そんな時、視界が真っ黒になった。これが、天国からのお迎えか。
そして、再び目を開けると・・・
「先輩、またですか・・・?」
僕が求めていた救世主、御伽が居た。
「おt…ぎ…しょ…しょくりょう…ぷりーず…」
僕は御伽に途切れ途切れでそう言った。
「・・・すいません先輩。今、killサワーの空の缶しか持ってません」
御伽はそう言うと、killサワーの缶を左右に振り、空なことを示している。
「先輩、私行く前に言いましたよね...なんで買い溜めないんですか。・・・私が来るとだいたい、冷蔵庫の前で倒れてますよね。そして、それを私が助ける・・・本当にいい加減にしてください」
「ぜん…しょ…しま…す…」
僕はそう言うと、御伽の怒りの顔が収まった。
「何が欲しいですか?」
御伽がそう聞いてきたので・・・
「麦茶、つぶコーン、コク旨、ミートチーズ、発酵メロン、以上で!」
今まで、死にそうだったえりかが、笑顔で商品名を言っていく姿に、御伽は疑問を持った。
「先輩、今日は少ないですね。これで足りるんですか?また買ってくるの嫌ですよ」
僕はいつも高カロリーのものを七~八個ぐらい食べている。
(今日はいつもの半分くらいしか頼んでこない、これは危険な状態だ)
「大丈夫、大丈夫、今日は結構な人殺ってきたから」
御伽は人を殺して、なぜ、腹が満たされているんだろうと思った。
「なんだ、その顔は?」
「いや、やっぱり先輩は人間じゃないと、思ったんですよ」
いつも、思っていたことを口に出した。
「そうだねぇ~僕は『ダリア』になれなかった落ちこぼれだからね・・・」
僕は御伽が困惑しているのを見て「冗談だよ」と付け足した。
「まぁ、これが『孤独の天災』だよ」
そう言って、僕は「おやすみ~」と御伽に言って寝室に入って行った。
残された御伽は「おやすみなさい」と言って、僕の家から出て行った。