15話 人間は成長するもの
キル第十支部の中はあまり暗くない。
キル第十支部に入る前から人の気配はしていたが、入ってからは気配が強くなった。
「皆さん、気を付けてください。油断していたら来ますよ」
豊果が僕の思っていることを代弁してくれた。
僕たちの前を歩いている10組のひとたちは、豊果の言葉を聞くと剣をより深く構えた。
そんな時・・・
「おい、お前たちがキルkillか?」
前から男の声がした。そして周りの人の気配が強くなった。
「そうです。俺たちはキルkillと言うものですよ。キルの皆さん」
「リーダーの言っていたことはやはりあっていたな」
「ほう、あなた方のリーダーは読みがいいようだ」
そう言った豊果はみんなに「戦闘開始!」と言った。
それは相手も同じ、話していた男は僕たちの周りにいる人たちに「お前ら!殺れ!」と言った。
そうして、戦闘が始まった。
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うーん・・・
ちょっとまずいな、と僕は思う。
僕と豊果は危険になったら助けると言っていたので、僕と豊果が危険だなと判断したら助けている。
助けるのはいい、だが10組の皆が皆危険になっているので、敵は僕と豊果がほとんど倒している。
これじゃあ、成長するどころか、トラウマになり戦闘できなくなってしまうかもしれない。
そんなことを考えていると、戦闘が終わってしまった・・・
「皆さん、怖いのは分かります。俺も初めての戦闘は怖かったです。でも、それを乗り越えないとずっと怖いままなんですよ。今は俺たちがいますが、これからは自分たちだけの戦いになるかもしれないんです。今回のままじゃ、敵のいい餌ですよ」
みんなは下を向いて震えている。
先ほどの戦闘が怖すぎたのか・・・それとも、何もできなかった自分たちが情けないのか僕には分からない。
「・・・下を向き続けてはいけません。そうしたら目の前の敵が見えないじゃないですか。皆さん顔を上げてください」
豊果がそう言うと、みんなが顔を上げた。
しかしみんなの顔からは不安の表情がある。
・・・ここはキルkill最強の僕が何か言うべきか・・・
「人間は成長する生き物だ。失敗や間違いを次に生かし成長する、それが人間だ。お前たちも人間ならば、必ず成長する。」
僕はそう言って、みんなを見た。
「下を向くな、前だけを見ろ。そうすれば希望は必ず見える」
みんなは「はぁい!!」と言った。
みんなの顔に笑顔が実った。
「さすがえりかさん、やりますねぇ~」
豊果が手を叩きながら僕に言う。
「べつに...これは僕が考えたものじゃないし...」
「ほう?では誰が?」
「なぜ教えないといけない?」
豊果は笑って
「そんな素晴らしいことを言う人を1度見てみたいという、好奇心ですよ。それで誰ですか?」
こいつ、どうせ対戦してみたいとでも思っているんだろう...
「・・・僕を『救ってくれた人』」
「えりかさんを救った人・・・ますます会ってみたくなりましたね」
こいつ、グイグイくるな...
「それで、その人は今どこにいらっしゃるんですか?」
「豊果、今キルkill中なんだけど...」
そうだ。こんな話をしているが、ここは敵の陣地だ。こんな話をしている場合じゃない。
「名前だけでもいいので教えてくれませんか?」
こいつはもう絶対引き下がらないだろうと思い、僕は言うことにした。
「・・・名前は・・・『竜胆』」
僕の言葉を聞いて、豊果だけではなく周りで聞いていた10組全員が驚いている
「竜胆って・・・司令官の竜胆明美ですか?」
「そう」
皆が驚いている。まぁ、驚くだろう。いつも「かっこいい」だろとか言ってよく分からないことを言っている人が本当に「かっこいい」素晴らしい言葉を言っているのだから。
「あの司令官がそんな言葉を・・・」
豊果が目を丸くしている
「そんなわけでお前の考えている対戦は出来ないので」
「ははっ、分かっていたのですか」
いつのまにかいつもの豊果フェイスに戻って、笑っていた。
「それでは皆さん先へ進みましょう。成長するために」
みんなは「はい!!」と言って、顔を上げ前に進み始めた。




