バグにはバグぶつけんだよ!の巻 (9)
ここも違う……このあたりかしら?
「別のバグ?」
「ええ。無限回廊を一周すると、五階の階段の壁のコリジョン……つまり当たり判定が少しズレますのよ」
「いつもながら何言ってるかよくわからないんですが……」
「まぁ、見てらっしゃい」
と、ちょうど壁に沿わせていた手のひらの感触が消えましたわ。
「ここですわ!」
「えっ! アン様、腕が壁の向こう側に突き抜けてますけど! それ大丈夫なんですか!?」
「ええ、壁のグラフィックと当たり判定がズレてるだけですから問題ありませんわ。ここから階段の裏に回れば無限回廊を無視して昇れますわよ~!」
「脱法感がすごい」
「相手がバグなら何したっていいんですのよ! バグにはバグぶつけんだよの精神ですわ!」
「えぇ~……」
では、先に手荷物の鞄を隙間の向こうへ放り投げてから、ワタクシもさっそく裏側へ……。
「………………………………」
困りましたわ。
「あの、どうしたんですかアン様?」
「…………いえね、あの……少しばかり窮屈でしてね」
ぬぬ……当たり判定のズレた隙間が絶妙に狭くて……なかなか……むむ……体が通らないですわ……。
「窮屈って何が…………あっ」
具体的には……長年の贅沢なお嬢様的食生活によって栄養の集まってしまった……お胸のあたりが……。
「くっ……むむっ………………ぬあああああ無理ですわこれ!!」
無理なもんは無理! いったん隙間から体を抜いて一息つきますわ!
「ハア…………ハア………………ぃよしっ!」
「えっ!? ちょっ、何いきなり服脱いでるんですかアン様!」
「こういうお上品なドレスは無駄なフリフリがいっぱいでかさばりますのよ! よしっ、下着だけならギリ通れますわ!」
「だ、だからってこんなとこで脱がないでくださいよ!」
「あなた名前は!」
「ラッキースケベ略してラキスケです!」
「だったら別にいいでしょ! ……ぬぬ……よしっ! 通れましたわ! さあ次はアナタですわよ」
壁の反対側にいるであろうラキスケに向かって声をかけておりますわ。
「ええ~……こんなとこ本当に通れるんですか……? どう見てもただの壁……」
「アナタ今ワタクシが通ったの見たでしょう? 自分の目で見たものを信じなさいな」
「わ、わかりました……そーっと、そーっと……わっ、ホントに壁の中に手が入った!」
壁からおそるおそるラキスケの右腕が出てきましたわ。……チャッチャと通ればいいのに、まったくじれったいですわね。
「ちなみにこのバグった当たり判定、一定時間で元に戻るから早くしてくださいませよ」
「元に? 戻ったらどうなるんですか?」
いかがでしたか~~~~!
お気に召しましたら「ブックマーク」と「ポイント」で応援いただけたら、ワタクシとっても嬉しいですわ~~~~!
それから、よろしければ一言コメントで読者様がこれまでに体験した「おもしろバグ」をご報告くださいな!
もしランク上位に入って次回作を書く機会ができましたら参考にさせていただきますわ~~~~~!!
ところでワタクシ、先日すっ転びまして膝を強く打ち付けてしまいましたわ!
転んだケガなんて子供の頃ならすぐに治ったのに、今では三日経っても痛いですわ~~~!
RPGみたいに一晩寝たら治ってほしいですわね! 皆様もお気を付け遊ばしてくださいな!
それではまた明日お会いいたしましょ~~~~~!!!