決戦!回れ女子高生!の巻(6)
「アンくん、随分とお疲れみたいだね」
スポーツドリンクを差し出してきたのは……ええと……彼女は……そう、ナーシャですわ。長身によく似合うGパンと黒髪ポニーテールがチャームポイントの天才プログラマー。大作ゲームの企画・シナリオからプログラミングまでほぼ一人で行ったという実績に加え、まるで宝塚の男役のような端正な顔立ちと国籍・経歴不明というミステリアスさも相まって、たちまち時代の寵児としてメディアに担ぎ上げられたゲームデザイナーですわ。……もっとも、ワタクシからすればバグの大量発生装置ですけれど。
「そりゃあ、やっと『DF』のマスターアップにこぎつけたんですもの。居眠りくらいしますわよ」
DF、正式名称『ディフェクティブ・ファンタジー』は、つい先日ようやくデバッグを終えてマスターアップを迎えたところですわ。
「フフ、それもそうだね。ところで、どんな夢を見ていたんだい? 泣いたり笑ったり叫んだり、随分と楽しそうだったけれど」
「人の寝顔を観察するなんて趣味が悪いですわよ。…………夢。ええ、たしかに何か夢を見ていた気がしますわ。でもワタクシ、起きると忘れちゃうタイプなんですのよね」
「そうかい。それはもったいないね」
「で、アナタがわざわざ差し入れを持ってきたということは、何か急ぎの仕事ができたということでしょう? 早く本題に入りなさいな」
「アンくんは何でもお見通しだね。……実は明日ギャラスリのベータロムを提出しなきゃいけないんだけど、ちょっとデバッグの手が足りてなくてね」
ギャラスリ……新作SFアクションゲーム『ギャラクティック・スリー』のことですわ。DFの隣の部署で開発していて、我が社の看板であるナーシャはメインプラグラマーの掛け持ちという無茶振りをさせられていますわ。
「ハァ……今日も泊まり込みですわね」
「さすが、頼りになるね!」
ナーシャは笑顔で指をパチンと鳴らしましたわ。そういう嘘くさい仕草がそう見えないあたり、人生得してる女ですわね。
それからナーシャとふたりで隣の部署へ戻ると、ちゃっかりワタクシの席が用意されていましたわ。
「断る選択肢なんて最初からありませんでしたのね。つーかワタクシ以外もう全員帰宅してるようですけれど?」
「アハハ……その代わり一番いいPCを用意したからさ」
「何言ってますの。一番ボロいのも要りますわよ。スペック不足時の動作も確認しますから」
「オッケ」
さて、今日も長い夜になりそうですわね……。
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