令和にビキニアーマー!乗っ取られた故郷を取り戻せ!の巻(17)
"ほう、なぜ私だと?"
「ワタクシ、この世界のことならなんでも存じあげておりますの」
"フフ、面白いお嬢さんだ。……それなら、私がこれから何をしようとしているのかも分かるかな?"
そう言うと、ヴォルは手にした金色の小箱を掲げましたわ。
「モートの器……!」
ラキスケの言う通り、あれこそがモートの器ですわ。
"もう一つヒントを与えよう。私が今いる場所だ"
遠隔投影の魔法がヴォルの周囲まで広がり、奴の背後に広大な洞窟の内部が映し出されましたわ。その岩壁には無数の赤黒いまだら模様が広がっていますわね。
「そこは……!」
ラキスケが驚き、目を見開きましたわ。
「……どこでしたっけ、アン様?」
雑なボケですわね。
「あれは北の果てにある呪いの洞窟ですわ。なんでも、死者が冥界に落ちる前に経由する場所なんだとか」
"その通り。正解だ。よく勉強しているじゃないか"
そりゃあ、このゲームのデバッガーですからね。……さて、魂の抜けた「モートの器」と、死者の魂が集まる「呪いの洞窟」。そして生物を合成するヴォルの「呪術」……答えは明白ですわ。
「悪霊を使って、モートの器に新たな命を吹き込もうってロクでもない魂胆ですわね。さらに言えば、ここから呪いの洞窟まではどれだけ飛ばしても三日三晩はかかりますから、いくら合成魔術に時間を要するとはいえ、ワタクシたちが到着するまでに間違い無く術は完成する。……それを知った上でのご親切なヒント、というわけですわね」
"ほう、思っていたより聡明なお嬢さんのようだ! その通り! さあ、どうする? 無駄だと分かっていても来るかね?"
「そうですわね。せっかくのご招待ですし、伺わせていただこうかしら?」
"フフ、待っているよ、お嬢さん。……ああ、それから。リト、貴様はもはや用無しだ。授けてやった魔力は返してもらうぞ"
ヴォルが手をかざすと、リトの額にあった呪術師の印が消滅しましたわ。
"言っておくが、そいつに捕虜や人質としての価値は無い。貴様らで好きに処分してくれてかまわんよ"
「えっ!? ヴォル様、そ、そんな……!」
"ではお嬢さん、北の果てで待っているよ。ハーッハッハッハ……"
……と、ベッタベタな悪役高笑いをかましてヴォルの遠隔投影は消滅しましたわ。
「どうやら片付いたようだな」
クイン女王がビキニアーマー軍団と椅子……もとい、ヘンリーを引き連れて謁見の間にやってきましたわ。
「ウォンターの兵士や国民たちは正気を取り戻したようだ。それに、監禁されていた国王と王妃も先ほど無事に解放されたとの連絡を受けた。ブライ王子、安心するといい」
「クイン女王……この度は本当にありがとうございました」
ラキスケが深々と頭を下げましたわ。
「……どうした? コトが解決したにしては表情が暗いな」
「実は……」
ラキスケから説明を受けたクイン女王は、少し考えてから、リトを目隠ししていた帯を剥ぎ取りましたわ。
「貴様、本当に何も知らないんだな?」
クイン女王の鋭い目力に、リトはすっかりビビって蛇に睨まれた蛙状態ですわ。
「しっ、知りませんっ! だから、だから、どうかこれ以上おしりを焼くのは勘弁してくださ……って、あれ? 焼けてない?」
自分のおしりの無事を確認し、安心したのも束の間。
「どうした? これから焼いてやってもいいんだぞ?」
「ひっ……!」
「フフ、コイツは妾のところで預かろう。これはこれで調教し甲斐がありそうだからな……」
「やだやだこわいこわい!」
「黙れ。……焼くぞ」
「ひぃ……」
女兵士に両脇を抱えられて連行されゆくリトに、ヘンリーが優しく声をかけましたわ。
「慣れると楽しいぞ」
「うえぇ……」
こうなると不憫ですわね……。
「で、アンよ。何か妙案はあるのか? たとえ我が国きっての駿馬を駆ったとて、北の果てには間に合わぬぞ」
「ええ。それについてはワタクシに考えがありますから、この後で作戦を話し合うとして。……その前に、仲間をひとり迎えに行かないと行けませんわね」
※ ※ ※
ウォンター城内、女兵士の詰所。その中心に用意されたバスタブに浸かったリリィが、両腕に美しい女性兵士を一人ずつ抱きながら恍惚の表情を浮かべて呟きましたわ。
「勝ちまくり……モテまくり……! テンプテーション最強……ハーレム最高……!」
さらに、その周囲には順番待ちの女性がたくさん……。
「リリィ。お楽しみのところ悪いのですけれど、もう作戦は終わりましたわよ」
「勝ちまく……えっ!? アンさん!? あの、えと、これはその…………誤解ですっ! 私はあくまでもアンさん一筋でっ……!」
「別にいいんですのよ。人生楽しまないと損ですから」
「違うんですアンさん~~~~~~っ!」
さて、急いでヴォル打倒の準備をいたしませんとね!
いかがでしたか~~~~!
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