バグにはバグぶつけんだよ!の巻 (6)
「はぁ……はぁ……やっと止まった……」
フラフラと街の入口へ向かいながらラキスケが情けない声を出してますわ~。
「だらしないですわね~! アナタそんなことで兵士としてやっていけますの?」
「アン様、ボクの背におぶってもらって何言ってんですか」
「あら? アナタこういうお嬢様虐げられプレイがお好きなんでしょう?」
「Win-Winです」
「それにしても、なんだか活気がない街ですわね。人が全然いませんわ」
「あの……気付いてないんですか?」
ンまぁ! ラキスケの分際で随分ナマ言いますわね。この世界のことを知り尽くしたワタクシにわからないことがあるとでも?
「サッパリわかりませんわ」
「さっき外周をグルグル走りながら街の中を観察してたんですけど、最初は普通にみんないたんですよ。ところが、周回を重ねるたびにどんどん人通りが減っていって……」
なるほど!
「謎はすべて解けましたわ!」
「聞きましょう、解決編」
「フフッ。こういう事件は犯人の気持ちになりきることが大切ですのよ。……平穏な日常を過ごしていた街の人々にある日、とんでもない事件が起こったのですわ」
「それは?」
「事件……それは! 突然ポーゥポーゥ叫んで街の周囲を高速移動する不審者が現れたことですわ~! そんなのが街に乗り込んできた日にゃ常識的に考えて隠れますわよね~! お気持ちお察しいたしますわ~! ザ・民意!!」
「わかったんなら、もうあのクソバグ使うのやめましょうね。おかげでメシも食えない、宿にも泊まれない有様ですよ」
「確かにどこもかしこもシャッター閉めておられますわね~。ン~、人を見た目で判断するのはよくありませんわよ~」
と言ってみたところで、お嬢様のその言葉に感銘を受けましたハイ開店!となるはずもなく。さて、どういたしましょう。あの塔、序盤とはいえ一応ダンジョンですから軽く腹ごなしぐらいはしていきたいところでしたのに……。と、困っているワタクシたちのもとに一人のお爺様がやってきましたわ。その小綺麗な身なりからして、それなりの小金持ちかしら?
「お困りのようですな」
「そう言うお爺さまも、わざわざワタクシたちに声をかけてくるということは何かお困りなのでしょう?」
「……話が早くて助かりますな。私はゾゾと申します。実はあの塔の最上階に住む魔物に孫娘をさらわれてしまいまして。多額の賞金をかけて冒険者ギルドに依頼したものの、どんな勇敢な戦士たちが向かっても最上階までたどり着けずに挫折してしまうのです。そこで、あなた方のあの変態的な高速移動を拝見し、さぞ高名な不審者の方であろうとお見受けしましてな」
「高名な不審者」
「どうせ塔には行くつもりでしたし、お引き受けいたしますわ。その代わり……」
「食事、宿、軍資金ですな」
「話が早いの三冠王ですわ~!」
いかがでしたか~~~~!
お気に召しましたら「ブックマーク」と「ポイント」で応援いただけたら、ワタクシとっても嬉しいですわ~~~~!
それから、よろしければ一言コメントで読者様がこれまでに体験した「おもしろバグ」をご報告くださいな!
もしランク上位に入って次回作を書く機会ができましたら参考にさせていただきますわ~~~~~!!