令和にビキニアーマー!乗っ取られた故郷を取り戻せ!の巻(2)
「……ビミョーな味だニャー」
二人の勇者のシルエットをかたどった最中。それを張り切って頬張ったアヤメの表情がさっそく曇りましたわ。
「最中なんてどうやったってアンコの味にしかならないのに、ここまで美味しくも不味くもない味にできるのって逆にすごくないですか?」
リリィはリリィで全国の和菓子屋さんにどつかれそうな暴言を吐いてますわね。いや実際これ美味しいかって言われるとワタクシも答えに窮しますけれど。
「まあ、名物にうまいものなしって言うじゃないですか!」
食わせたラキスケが何を堂々とほざいていらっしゃるのかしら?
「どなたか~? この方からガイドの資格剥奪してさしあげて~」
「ええ!? こういうのは味じゃないんですってば~」
「ミシュラン出禁」
「あっ、それよりあの広場の銅像を見てくださいよ! この街のランドマークなんです!」
と、また一人で走っていきましたわ。完全にお国自慢モードに入ってテンション上がってますわね……。
※ ※ ※
「えー、皆様、正面の銅像をご覧ください。一頭の馬に乗った二人の英雄。彼らこそ、このウォンター王国、そしてお隣のタイプレイ王国の建国の父であります」
ラキスケが解説しているのは、街の中心にある広場にそびえる3メートルほどの英雄像ですわ。
「出会った当初は反目していた二人ですが、この地を襲った悪魔モートを倒すために手を取り合い、ついに平和をもたらしたと伝えられています。それ以来、ふたつの国は恒久の友好条約を結び、現在に至るというわけです」
なんだか男同士の薄い本が厚くなりそうな話ですわね。
「そういった歴史的経緯から、両国はお互いに自由に行き来ができますし、国籍の変更なんかも原則認められています」
「……その割には、国境付近が妙に物々しい雰囲気ですね」
リリィの言うとおり、確かに街をパトロールする兵隊たちから少しピリピリとした空気を感じますわね。
「まぁ、ボクが住んでいた頃は兵士の平和ボケが問題視されていたくらいですし、これくらいの緊張感はあった方がいいいんじゃないですか?」
「ラキスケ、謎の上から目線だニャー」
「え!? そ、そんなことないですよ!? ほ、ほらそれよりアン様、デバッグしなきゃデバッグ!」
「ああ、それならすぐそこですわ」
と、広場の脇にある一軒の民家を指さしましたわ。
「なんの変哲もない一軒家みたいですが、あそこにそんなに重大なバグが潜んでるんですか?」
「ええ。とてつもなく恐ろしいバグですわ。……ごめんくださいまし」
玄関扉をノックして開くと、明かりの点いていない暗い部屋の中に、青年が一人うなだれて椅子に座っていましたわ。
「……なんのご用ですか、旅の人」
「突然ですけど! アナタ、困り事がありますわね!」
「……あるからこんなに落ちんこでるんですよ」
「それはズバリ! 遠距離恋愛中の彼女からの手紙が途絶えたことですわね!」
その言葉を聞き、青年は目を見開きましたわ。
「なっ、なぜそれを!?」
「結論から言いますと単なる郵便配達漏れですわ! ホラこんなところに引きこもってないでサッサと郵便局に行った行ったですわ!!」
「あっ、ありがとうございます!」
青年は慌てて立ち上がり、郵便局へ向かって猛ダッシュしましたわ。
「うーん、いいことをした後は気んもちい~ですわね~!」
「……あの、アン様?」
「なにかしら?」
「いや、デバッグは?」
「もう終わりましたわよ」
「は?」
「あの青年のやさぐれ発言に問題がありましたので、さっさと解決フラグを立てて口を封じましたわ」
「え、何か問題なんてありましたっけ?」
「乙女の口からそないなこと言わせないでくださいます?」
「そんなセンシティブなバグだったんですか……?」
「というわけでこの街でのデバッグは完了ですわ! ハイ撤収っ!」
「はっや。まだ来て三十分も経ってニャい」
「……というのも味気ないですから、もうちょっと観光していきますわよ!」
「やったー!」
「デート延長ですね♡」
ワタクシの宣言にアヤメとリリィは賛成のようですけど、ラキスケだけは苦い顔をしていますわ。まあ、その理由もわかりますけれど。
「そろそろ、そのお面を取った方がいいんじゃないかしら? ラキスケ……いえ、ブライ王子」
その名で呼ばれたラキスケが目を丸くしましたわ。
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