ここはどこ?私はお嬢様?風雲ノース城!の巻(14)
「!!!」
地面の隆起に乗り上げたキャタピラーが持ち上がり、アン様の頭上に巨大な影を落とした。その鉄の板が重力に身を任せて彼女を押しつぶす!
「死ねやネエチャン!!」
「あ……」
その直前!
「あんまりチョーシこいてんじゃありませんわよ! この✕✕✕のチヨメチョメの腐れ<ピーーーーーーーーーッ>!!!」
瞬間、キャタピラーはその回転を止め、まるで時が止まったかのように重力を無視して空中にその巨体を留まらせた。
「なっ!? なんだこりゃあ! 何が起こってんだ!?」
攻略本通りのフリーズバグが発動した。締め付けが緩んだ隙にアームから体を滑らせて脱出し、ボクは剣を構えた。
「!!」
柄を握る手に涼やかな感触。アイスソードに冷気が戻っている。どうやら魔力封じの仕掛けもフリーズしたらしい。
「今ですわ! ラキスケっ!」
「はいッ!」
アン様の裏技とボクの剣撃、合わされば必殺の一撃となる!
「冷凍剣・横一閃!」
青い太刀筋がキャタピラーを切り裂き、斬撃の痕から入り込んだ極寒の冷気が戦車を鉄の棺桶へと変貌させた。
「さ、さぶっ……! じょ……冗談じゃないよ…………」
それが、最後まで顔を見ることのなかったノース城主最期の言葉となった。氷漬けとなった戦車の残骸から球状の光が浮かび上がり、ボクの手の中に収まった。その光が薄れると、中から白の書が現れた。
「ラキスケ、よくやってくれましたわね」
「いえ、アン様のおかげですよ。それにしても、白の書無しで元に戻るなんてさすがです」
「あら? それはワタクシの力じゃなくってよ」
「えっ?」
「……ねっ、ラキスケ様」
「なあっ!? わっ、忘れてくださいよ、それはっ!」
「フフッ。さあ、ふたりのところに帰りますわよ」
「うぅ……」
これでますますアン様に頭が上がらなくなってしまった……。
※ ※ ※
「きゃあああ男はそれ以上こっちに近付かな…………あれ? 私、今まで何を……?」
「にゃーん! ……にゃーん? にゃーんってなに? あっ、アンとラキスケ、なんだか久しぶりだね~」
白の書でようやく二人が元に戻りましたわ。
「というわけではいドーン!」
ハンマーをぶん回して女神像の脛を粉砕骨折パワフル脚気の検査ですわ~!
「見てるだけで痛い」
ラキスケのツッコミも久しぶりですわね。ともかく、足の支えを失った女神像は前のめりに地面に倒れて粉々に砕けましたわ!
「予定よりちょっと遅くなりましたけど、これでまたバグが一つ滅びましたわ~!」
取り出した攻略本の該当ページにチェックをつけますわ!
「そのノート、もしかして全部のバグが書いてあるんですか?」
先の冒険で役立ったからか、珍しくラキスケがデバッグに興味を持って尋ねてきましたわ。
「ええ、もちろん。ワタクシはこの世界のすべてを把握しておりますから」
「ということは、その本のバグがすべて片付いた時が……」
……旅の終わり。
ラキスケはその言葉を飲み込んだように見えましたわ。
「……あのー。なんだかやけにお二人の距離が近いように感じるのですがぁ~?」
リリィがワタクシたちの間に物理的に首を突っ込んできましたわ。
「そうかしらね?」
「私のヘテロセンサーは誤魔化されませんよ」
「ワタクシはいつも通りですから、近付いたのだとしたらラキスケの方ですわね」
「……ラキスケさん?」
リリィがにこやかにラキスケに話しかけましたわ。
「な、なんですか……」
「臓器いくつか盗ませてもらってもいいですか?」
「死ぬから」
「そんなことより、はやく次の街に行こうニャ~」
アヤメはまだネコが抜けきってないようですわね。
「ええ。次の目的地はもう決まってますわ。それは……ウォンター王国ですわ!」
「えええええええ!?」
なんかラキスケがやかましいけど無視ですわ。
「さあ、出発ですわよ! いざ、すべてのバグを滅ぼしに!」
言いつつ、ワタクシは攻略本の最終ページに目を落としましたわ。そこには……黒く塗りつぶされた一文が。
……いえ、大丈夫。
このバグだけは決して起こることはありえませんから……。
いかがでしたか~~~~!
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それから、よろしければ一言コメントで読者様がこれまでに体験した「おもしろバグ」をご報告くださいな!
もしランク上位に入って次回作を書く機会ができましたら参考にさせていただきますわ~~~~~!!




