ここはどこ?私はお嬢様?風雲ノース城!の巻(12)
「ん?」
「リセットされるのは性格であって性癖では……」
「聞こえてる。言ってる意味がわかって困ってるだけ」
「お前、昔からよく調べもせずに先走るクセがあるよな……」
その時、一人の兵士──その鎧の形状からタイプレイ王国の者だとわかった──が息を切らしてヘンリーの元へ走ってきた。その手には一通の手紙が。
「……なんだ? クインから?」
ヘンリーは手紙に目を通すと、フフッと苦笑いをした。
「どうした?」
「どうやら向こうのが一枚上手みたいだわ」
そう言って投げてよこした手紙にはこう書かれていた。
"最初からドMの男なぞ調教のし甲斐なし。実力で四つん這いの椅子にしてやるからさっさと帰ってこい"
「……そっちの国、心配になってきたんだが」
「うるせえ。……ま、そういうわけだから俺ァ帰るわ。お前も嫁が見つかったんならそろそろ里帰りでもしたらどうだ? んじゃな!」
なんだかよくわからんうちにヘンリーは意気揚々と馬に乗って帰っていった。
「……里帰り、か」
と、ヘンリーと入れ違いに、木々の向こうからアン様が走ってくるのが見えた。その手に桶いっぱいの水を重たそうに揺らしていた。
「あっ、ラキスケ様! 目が覚めたのですね! よかったぁ……」
アン様は桶を下ろして、その場にぺたんと座り込んだ。
「ええ、なんとか命拾いしました」
「助けてくださったあの方にもう一度お礼をお伝えしたかったのですが……お名前も告げずに帰ってしまわれました」
「ああ、アイツは昔なじみなのでお気になさらず。それよりアン様はご無事でしたか? 思い切り投げ飛ばしてしまいましたが……」
「はいっ! ワタクシなら平気ですっ!」
アン様は笑って、ありもしない力こぶを作って見せた。
「……あっ、そうです! さっきワタクシ、攻略本を読んでいてこんなのを見つけたんです」
そう言ってノートを開いて見せてくれたが、それをボクが読めないことを思い出してすぐに翻訳を始めてくれた。
「えっと……『白の書はノース城主が100%ドロップしますわ。ただし強力な戦車を操るバランス調整やらかしボスなので、間違っても正面切って挑まないように』」
「それは、言い換えれば攻略するためのバグ……いや、裏技が存在するということですね?」
「はいっ! ただ、書いてある意味がワタクシにはよくわからなくて……」
「ほう、なんと?」
「はい。『城主はキャラクターメイクの結果で強さが変動する特殊なボスですわ~! が、そんなめんどくせー仕様と雑なプログラム。何も起きないはずがなく……』」
正直、今のところ言ってる意味はボクにもよくわからないけれど……久しぶりに聞くアン様のその口調に、どこか心が落ち着く自分がいた。
「『……よって、キャラクターメイク中に起きるエラーをボス戦で再現することにより、連動した城主がフリーズしてしまうというバグですわ! これはキャラメイクの権利を持つ外界の人間、つまりワタクシにしかできない裏技ですわね! そのバグの発生条件は実に簡単!』」
ここからだ。この先さえ解読できれば問題ない。
「『キャラメイクで弾かれるよーな放送禁止用語をでっけー声で叫ぶだけですわ!』だそうです!」
「……………………」
「?」
「…………あの、アン様。嬉しそうに仰ってますが、意味わかっておられますか……?」
「いいえ?」
「あのですね……」
周りで誰が聞いているわけでもないけれど、それを告げるのがなんだか気恥ずかしくて、ボクはアン様にそっと耳打ちで「その意味するところ」を伝えた。
「…………っ!」
アン様の頬がみるみる真っ赤に染まっていく。
「そっ! そんなことっ! 口にできるはずありませんっ! はっ、はっ、破廉恥すぎますわ!!」
「……でしょうね」
さて。頼みの裏技が使えないとなると、やはり真っ向から勝負を挑むしかないということだ。ボクは魔力を封じられたアイスソードを握り、頬を叩いて気合を入れ直した。
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