ここはどこ?私はお嬢様?風雲ノース城!の巻(9)
沈黙。そして。
「むっ、無理ですっ! 度胸だけでこんな危ない橋は渡れませんわ~っ! わ~ん!」
「わ~んて。アン様、泣いてたってどうにもなりませんよ。ほら、高さはありますけど足場はしっかりしてますから、地面があるものと想像しながら歩けば……」
「もう! 殿方っていつもそう! ワタクシお嬢様ですのよ! もっと優しくしてくださいまし! 具体的な解決法より共感が欲しいのですっ!」
めっ、めんどくさ……! しかし、そのワガママを聞いて立ち止まるわけにはいかない。
「……わかりました。それなら、ボクがアン様をおぶって橋を渡ります。アン様は下を見ないように目を瞑っておいてください」
「大丈夫ですの?」
「大丈夫です!」
大丈夫じゃないです本当は。
「わかりましたわ。それではワタクシ、目を瞑っていますからササッと渡ってくださいね、ササッと」
やれやれとコネクトバッグを前面に着け、空いた背中にアン様を乗せる。……足元には凄まじい水量の瀑布。見ないように、足場の木板だけに意識を集中する。
「……では、行きます!」
両腕を広げてバランスをとりつつ、慎重に第一歩を踏み出す。木板がギシリと軋む。……大丈夫だ。次の一歩。また次の一歩。……うん、いける。洞窟の中で風が吹かないのが幸いだ。
「も、もう渡り切りましたか?」
「そろそろ半分ですよ、アン様」
「ひいぃ……」
よし、この調子で最後まで……。
「……?」
なんだ? 今、何か小さな物が前方を猛スピードで横切ったような……。
「……うわっ!」
二度目! 今度は目の前。……投石!? 飛んできた方角──90度左に視線を移すと、壁にいくつも開いた横穴から猿のようなモンスターたちが顔を出していた。各々が手にした石を振りかぶるのが見えた!
「くっ!」
飛来した投石の一つが鎧の肩に命中した。ぐらつき、一瞬、木板から片足が浮いた。
「……ぬぅっ!」
広げた両腕を上下にバタつかせ、どうにかバランスを立て直す。この足場の悪さ、正面からならともかく、横からの攻撃はたとえわずかな衝撃であっても命取りだ。
「なっ、何事ですか!?」
背中のアン様が目を瞑ったまま叫んだ。
「ちょっと急ぎますよ、アン様!」
「えっ!? なっ、なにを……きゃあっ!」
こうなれば一刻も早く橋を渡り切るより他ない! 足場を一つ飛ばしながら駆け抜ける!
「ななななんですかこの揺れ!?」
「アン様、もう少しだけ目を瞑っていてください!」
獲物を逃すまいと投石の数が倍増する。
「きゃあっ! なんですかあのお猿さんたち!」
「なっ……!」
思わず目を開いてしまったアン様が、自分の置かれた状況に気付いて体を揺らした。
「し、しっかり掴まって!!」
さらなる投石! アン様めがけて直進してきたそれを身体を捻って正面で受け止める。
「ぐっ……!」
「ラキスケ様っ、大丈夫ですか!?」
「ええ……! このまま一気に突っ切ります!」
下手に立ち止まればそれこそ格好の標的だ。向こう岸はもう目の前……ダメージ覚悟で走り抜けた方が、石で致命打を受ける前にゴールに辿り着く公算のほうが大きい!
「うおおおおっ!」
向こう岸に近づくに連れて吊り橋の揺れが小さくなる。これならもっとスピードを上げられる! 残りあと三歩!
(行ける!)
!?
……突然の衝撃。
ぐらりと視界が揺れた。
一瞬遅れて、こめかみに激しい痛みが走った。よりによってこのタイミングで命中、しかも頭に? 方向を認識できなくなり、足場を踏み外す。目の前に滝の激流が広がった。
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