ここはどこ?私はお嬢様?風雲ノース城!の巻(7)
「その………………たぎに…………よげば…………」
「え?」
「……しょ、食人魚は装備品の有無で侵入者を判別するアルゴリズムになっているため……ふ、服を脱いで下着姿で泳げば探知されない……」
「なるほど! さすがアン様!」
「なっ! なに言ってるんですかラキスケさん! そんな……そんな恥ずかしいことできるわけありませんわ!」
「えっ? アン様、どちらかと言えば服着てる方が珍しくないですか? それに、沈むかもしれない蓮の葉を渡るなんて危険すぎますよ」
言いながら装備と服を脱いでコネクトバッグに詰め込み、おそるおそる湖へ片足を浸ける。……うん、確かに魚たちが襲ってこない。さすがアン様の攻略本だ。
「いけそうですね! じゃあ、ボクは先に渡って目を瞑って待ってますから、アン様もあとから追いかけてきてください。……あ、そうだ。そのバッグいくら入れても重量が増えないので、脱いだドレスを入れたら水に浮かべて運んできてくださいね」
「……………………………………むりです」
「もう、アン様。そんなワガママ言ってる状況じゃないでしょ」
「そっ、そんな破廉恥なことできませんよっ! そ、それにワタクシ、お嬢様ですから生まれたときから運はいいの! 蓮の葉ぐらい、いくらでも渡ってみせますわ!」
と、ドレスの裾をつまんで勢いよく蓮の葉にジャンプ! もう、なんでそんなに思い切りがいいんですか!
「わっ! わわっ!」
そして案の定、蓮の葉は乗っけた足ごとズボッと水の中へ。
「もう~! 言わんこっちゃない!」
急いで水中で踵を返して沈むアン様の体を抱きかかえると、ふたたび向こう岸の龍を目指して足をバタつかせた。水流の動きで、何匹もの食人魚が猛烈な勢いでこちらに迫ってくるのがわかる。水を吸ったアン様のドレスは重く、なかなか前に進めない。マズいな、このままでは連中にとって格好の餌だ。……くそっ、背に腹は代えられない!
「アン様、御免!」
彼女のドレスの肩口に手をかけ、力任せに斜め下へと引っ張った。水中で細い繊維が音もなく破れ、胸元が大きく開いた。そこからアン様の両腕を引き抜き、そのまま足元へドレスをずらしていく。ちょうどその時、食人魚の一匹がスカートに食らいついたことで引っ張る力が加わり、一気にアン様の体を引き抜くことに成功した。
(よしっ! これなら速度が出せる!)
ドレスの重みから開放されたことで、一気に岸へと泳ぎきることができた。陸に上がって振り返ると、脱ぎ捨てたドレスに魚たちが群がり、激しく白い飛沫を上げているのが見えた。
「ふう、危機一髪でしたね。…………あの、アン様?」
「…………………………」
アン様はこちらに背を向け、交差させた両腕で肩を抑えて震えていた。
「あの、アン様? 大丈夫ですか?」
呼びかけると、アン様は顔だけをこちらに向け、涙を浮かべた怒りの目で訴えた。
「大丈夫なわけないです! ワタクシ、こんな辱めを受けたのは生まれて初めてですっ!」
「まあ、いつもは自分から脱いでらっしゃいますしね……」
「うぅ……これではワタクシ、もうお嫁に行けませんわ……」
あのアン様がここまでお嬢様になるなんて……。バグだとわかっていても、なんだかドキドキしてしまう。
「……ラキスケ様」
……様?
「はっ、はい!」
「……………………責任、とってくださいましね」
いかがでしたか~~~~!
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