ここはどこ?私はお嬢様?風雲ノース城!の巻(6)
「地下にこんな広大な土地なんて普通じゃない……。やはり何か超常的な力が働いているんだろうな」
たとえば、かつてアン様が住んでいたという別世界からの干渉による力が。しかし、そのアン様も今は一人のお嬢様だ。しずしずとドレスの裾をつまんで上品に歩く彼女を見て、ボクはますます庇護欲をかきたてられた。
「まあ、美しい湖。こんなところでお茶会が開けたら楽しいでしょうね……」
水面に反射した陽光に照らされたアン様──その微笑みは何者よりも美しく……。
「………………いい」
「? ラキスケさん、どうかされましたか?」
「……あっ! いえっ! ではアン様! あの城へ向かって出発いたしましょう!」
※ ※ ※
湖を迂回すると、その水源は崖の麓にぽっかりと空いた洞窟から流れ出ている川なのだと分かった。攻略本の地図によると、この洞窟が崖の上の城へと繋がっているらしい。
「アン様、暗いので足元に気をつけてください。今、灯りをつけますね」
バッグの中から松明を取り出す。これはダール火山の呪術師が洞窟を照らすために使っていた(のを拝借してきた)もので、宿った魔力が光を生み出し、火種が無くとも辺りを照らすことができる優れものだ。……が、しかし。
「あれ? 点かないな……」
いや、松明だけじゃない。さっきから妙に蒸し暑いと思ったら、ボクのアイスソードも冷気を失っている。どうやらこの周辺には魔力を遮断する力が働いているらしい。
「あの……ラキスケさん、大丈夫ですか……?」
「あはは、大丈夫です! 安心してついてきてください!」
……と、言うしかない。なにしろ今のボクはお嬢様を守る騎士なのだから、弱みを見せて彼女を心配させるようなことがあってはならないのだ。
※ ※ ※
「行き止まりか……」
洞窟の奥へと続く川は徐々にその幅を広げ、ついには行く手を阻む地底湖へと姿を変えた。
「わあ、洞窟の中にある湖も綺麗ですね」
青い水の煌めきが鍾乳石の表面を彩り、天井からポツリと落ちた雫が水面に波紋を広げ、無数に浮かぶ蓮の葉を揺らす……その様子は確かに美麗だけれど、ボクたちの目的はこの湖の向こう側に渡ることだ。しかし泳いで渡ろうにも、澄んだ水の中に腹を空かせた食人魚たちが悠々と泳いでいるのが見えてしまっている。
「アン様、ノートに何かヒントが書いてありませんか?」
「えっと……ここは第一の関門『龍の池』……だそうです」
「龍……」
言われてみれば、向こう岸にある鍾乳石がなんとなく龍の形に見えなくもない。
「それで、攻略法は?」
「はい。『正攻法で行くなら、池に浮かぶ蓮の葉を踏んで渡れ。ただし二分の一は沈む』。……まあ、おそろしい!」
「ちなみに、正攻法じゃないやり方もあるんですか?」
「えっと……あっ、ありました! ……………………えっ……」
「どうしたんですか?」
「あの……これはちょっと……」
アン様の頬がみるみる紅潮していく。
「なんて書いてあるんですか?」
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