ここはどこ?私はお嬢様?風雲ノース城!の巻(5)
「ええと、なにか問題解決のヒントになるものは……」
……と念じながらバッグの中をまさぐっていると、一冊の本が手の中に収まった。
「これは……なんだ?」
ノートの表紙に書いてある文字が読めない。中身をパラパラとめくってみるが、やはり読めない。どうやらアン様が元いた世界の言語らしい。
「アン様、このノートの表紙なんて書いてあるんですか?」
「……あっ、はい……えと……『バグ完全退治マニュアル! 大丈夫、アントワネットの攻略本だよ!』……だそうです……」
だそうです……って、自分で書いたものでしょうになぜ自信なさげ……。いや、とにかく。
「この中に今回のバグの対処法が載っていないか読んでもらえますか?」
「わ、わかりました。少し時間をください」
ノートを受け取ったアン様は一心不乱にバグ探しを始めた。こういう健気なアン様、なんだか新鮮だなぁ。……さて、あとの二人はどうしたものか。
「こ、こ、こっち見ないでください! あなたの目から不潔なメンズビームが出てます!」
「にゃーん」
ダメだこれは。
「……とりあえず、二人はボクとアン様がバグをなんとかするまでここで大人しくしといてください」
「……あの、ラキスケさん」
ボクの袖をアン様が引っ張った。なんだか所作の一つ一つがいじらしい。まるで本当におしとやかなお嬢様みたいだ。
「このページにそれらしいことが……」
「本当ですか!」
「はい。読みますね……万が一バグが発生した場合、『性格』のステータスをリセットするアイテム『白の書』を手に入れること。白の書はノース城の城主が持っている……だそうです」
横からノートを覗き見ると周辺地図が手描きされており、ノース城はこの森をさらに奥へ進んだところにあるようだった。
「よし、それじゃあアン様、白の書を取りに行きましょうか」
「えっ、ワタクシもですか?」
「それはそうですよ。だって、このノートを読めるのはアン様だけなんですから。それにバグを潰すのはアン様のライフワークじゃないですか」
「そ、それはそうですが……ワタクシ、あまりお屋敷の外へ出たことがありませんので……」
「ボクがついてますから大丈夫ですよ」
「わ、わかりました……。ところで、あのお二人は……?」
「あー……」
相変わらずアヤメさんはチョロチョロそこらへんを走り回り、リリィさんはこっちを睨んで震えている。……とても戦力になりそうもない。
「しばらくは二人旅ですね」
「は、はい……」
少し緊張した面持ちのアン様がボクの後ろについて歩いてくる。別に今までだって一緒に旅をしてきたのに……なんだかこっちも緊張しちゃうなぁ。
※ ※ ※
森を抜けて景色が開けると、目前に大きな湖が広がった。その向こう、崖の上に建つ城がおそらく目指すノース城だろう。
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