ショートカット登山!天然混浴温泉バトル!の巻(11)
「……………………」
リリィはずっと日記をみつめたままですわ。いろいろ思うところがあるのでしょう。わかりますわ。……ワタクシも悩みましたもの。
「ぜ、全然事情が飲み込めないんですが……」
「あたしも右に同じ」
ラキスケとアヤメが顔面に疑問符を貼り付けていますわね。
「つまり、リリィは呪術師が生み出したゴーレムだってことですわ」
「へー、そうだったんですね。…………はぇっ!?」
「びっくり」
「まー、そんなのはどーでもいいことですわ。かくいうワタクシだって別世界からの異邦人ですから」
「その懐の深さ、お嬢様ポイント高くていいですね」
ラキスケの謎評価入りましたわ。
「で、本題はここからですわよ。……リリィ、アナタこの指輪を嵌めていましたわね」
「!?」
「あっ……」
ラキスケとアヤメは気が付いたようですわね。
「ワタクシは世界からバグを根絶するため、この火口に指輪を捨てに来ましたの。それは同時に、過去にこの指輪を装備したモンスターの存在を消すことを意味しますわ」
そう、つまり。
「リリィ、アナタは人と変わらぬ美しい容姿をしていますけれど、生物学上の分類はあくまでもゴーレムですわ。指輪が消滅すれば当然アナタも…………消えることになりますわ」
ワタクシはゆっくりと左手の薬指から黄金の指輪を引き抜きましたわ。
「ちょっとアン様! 本気ですか!?」
「アン! やめてよ!」
ラキスケとアヤメの止める声とは逆に、リリィは穏やかな表情で目を瞑りましたわ。
「……………………………………あなたになら」
そう。それがあなたの覚悟なのですわね。
ワタクシはワタクシの矜持に従うのみ。
いざ……。
「やーーーーめた! ですわ!!」
指輪を速やかにコネクトバッグに収納すると、ラキスケとアヤメがずっこけて地面に転がりましたわ。
「…………どうしてですか?」
リリィが不思議そうに尋ねましたわ。答え? そんなの決まってますわよ。
「あら、アナタご存じありませんこと? おもしろいバグって、バグじゃなくて『裏技』なんですのよ!」
「で、出た。いつもの主観だ……」
ラキスケが土の味を噛み締めながらツッコミの仕事をしましたわ。
「だいたい、リリィみたいなヒロイン級をブッ転がしたらユーザーブチギレAmazonレビュー星一つGEOの新春投げ売りセール突入確定ですわよ! それからリリィ、アナタにもうひとつ言っておかないといけないことがありますわ。実はこの指輪はモンスターが装備することでパラメータに異常をきたしますの。それはもちろんアナタも例外ではないですわ」
「それは……」
「これまでずっと宝石や貴金属に美しさを感じていたアナタが突然ワタクシのような人間を美しいと思った。もちろん純粋な一目惚れかもしれませんわ。けれど、もしそれが指輪の起こしたバグだとしたら……それでもアナタはワタクシのことを」
「愛しています」
「……フフッ、そう迷いなく答えられるとさすがにちょっと照れますわね。いいですわ! 旅は道連れ数は暴力! ついていらっしゃい!」
「アンさん……ありがとうございます……」
「ほらほら、泣くんじゃありませんことよ。あと、泣きながら人の乳を揉むな」
「つい……」
こいつ、もっかい指輪はめたらバグって手癖の悪さ治りますかしらね!
「ほらアン、はやく行くよ~」
「はいはい、すぐ行きますわよ」
アヤメに急かされてようやく暑い火山ともオサラバですわ。それにしても……。
「……ちょっと気になりますわね」
崩れ落ちたボスゴーレムの残骸。その体に刻まれた呪術師のサイン。その上から、うっすらともうひとつ「別のサイン」が浮かんでいましたわ。
(本来、山頂はゴーレムの住処ではないのですけれど……)
「アン! 遅い~!」
「はいはいお待ちになって~」
少しの気がかりを残しながらも、新たなセクハラ仲間を加えてワタクシたちの旅は明日も元気に続きますわ!
いかがでしたか~~~~!
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それから、よろしければ一言コメントで読者様がこれまでに体験した「おもしろバグ」をご報告くださいな!
もしランク上位に入って次回作を書く機会ができましたら参考にさせていただきますわ~~~~~!!




