バグにはバグぶつけんだよ!の巻 (3)
「ちょっとぉプログラマーさぁん! ここの壁の当たり判定ガバでしてよ~! カラダ抜けまくりですわ~ワタクシ塀の中にいますわ~!」
「この敵の攻撃力2倍に設定されてますわよアイタッ! ほらワタクシ流血いたしましたわジュース代を要求いたしますわ~!」
バグ! バグ! バグに次ぐバグ!
担当したゲームがとにかくバグだらけで、もうそこら中がくっさいくっさい糞虫の臭いで充満しておりましたの! しかもマスターアップの日がすぐそこまで迫っておりましたの! もうひたすら会社に泊まり込んでのバグ潰しですわ! デバッグ、飯、エナドリ、デバッグ、飯、エナドリ、デバッグ、エナドリ、エナドリ、気付けば朝、エナドリぶっかけコーンフレークにがっついてまたデバッグそしてエナドリ……!
かように爛れた生活を続け、ついにマスターアップの日を迎えた頃にはすっかりバグというバグは全滅しておりましたわ。無事にデータを納品するところを見届けたワタクシは、やっと一息つけますわ~と最後のエナドリを一気飲みいたしましたら……突然、めまいがしてブッ倒れてしまいましたの。アナタご存知でした? エナドリって元気の前借りですのよ! ワタクシてっきり無尽蔵にエネルギーをチャージしていただける22世紀からやってきた万能のお薬かと思っておりましたわ~!
借りたものは必ず返さねばならぬのが人の掟。元気を返却したワタクシはついに力尽き、若くしてその生涯を終えたのですわ……。
まァぶっちゃけ、死のうが生きようがそこまではどーーーーでもいいんですわ! 今どきエナドリかっこんで異世界転生なんてゲボ吐くくらいありふれた斜陽のジャンルでございますしね!
問題は! この世界ですわ!
転生してきたこの世界は! なんとワタクシが必死こいてデバッグしていたゲームの世界だったのですわ!
しかも!
バグだらけの初期バージョン!!
あのねぇアナタ、ワタクシが一体どれだけ必死のパッチでバグを取り除いたと思ってますの!? そんな人の苦労をねえ……!
「あの……」
「なんですの一般兵さん! 人の回想中に話しかけないでくださる? 文章がわかりにくくなりますわ!」
「いや、なんかもう回想シーン終わって愚痴が始まってたんで、そろそろいいかなって……」
「あら、それも一理ありますわね。あなたショボくれた見てくれの割に頭が回られますのね」
「あ、ありがとうございます……」
「一応、お名前聞いておきましょうか」
「あ、ボクは……」
「一般兵その1ですわね。特技はせいぜいラッキースケベとモブ顔に書いてありますから名前はラキスケでよろしいですわね」
「じゃあなんで名前聞いたんですか」
「改めまして、ワタクシは白鳥アントワネット縮めてアン様と呼んでいただいて結構ですわ! 以後お見知り置きを」
「はあ……。ところでアン様は結局この世界で何してるんですか? 人助けの慈善事業とか?」
「デバッグですわ」
「はい?」
いかがでしたか~~~~!
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それから、よろしければ一言コメントで読者様がこれまでに体験した「おもしろバグ」をご報告くださいな!
もしランク上位に入って次回作を書く機会ができましたら参考にさせていただきますわ~~~~~!!