ショートカット登山!天然混浴温泉バトル!の巻(1)
「ハァ……ハァ……砂漠の次は火山って……なんで暑いとこばっかり……」
でっかい荷物を背負ったラキスケが、息も絶え絶え汗ダックダクでワタクシとアヤメの後ろをついてきますわ。
「何言ってますの! 指輪を捨てるなら火口! エジソンは偉い人! そんなの常識ですわ~!」
「まったくラキスケはだらしないな~。まだ火山の麓の村にも着いてないのに、もうバテたんだ」
ワタクシに続いてアヤメが追い打ちをかけると、ラキスケは不服そうに頬を膨らませましたわ。
「も~! お二人は水着だからいいですよね!」
そう! こんなこともあろうかと、ワタクシたちはモアフゴーの街でドレスと一緒に水着を買っていたのですわ~!
「ワタクシのビキニ、布地控えめで目の保養になりますでしょ?」
「あたしのワンピースもフリルいっぱいついてる割に動きやすくていいよ」
「……くっ、ボクも脱ぎたい……」
「アナタが脱いだらまた出禁になりますわよ」
「なんで行く先々で出禁の心配しとるんですか我々は……」
「あっ、見えてきたよ。あの村でしょ?」
アヤメが指差した先に小さな集落が見えましたわ。火口へ続く山道にはあの村から入りますのね。
※ ※ ※
「ダール火山に足を踏み入れてははならぬ……。必ずやこの村に恐るべき厄災がもたらされるであろう……」
「出ましたわ~! やたら迷信深いタタリ信奉者の白ひげ長老~!!」
「あー、ド田舎村のあるあるだね。ベタすぎてアクビ出てきたフア~ァ」
「わーーーーっ!! すみませんすみません! この二人ちょーっと世間知らずなもんで言葉の選び方とかアレでほんとすみません後でよーく言って聞かせますのでいったん失礼いたしますーーー!!」
せっかく弾んでいた長老との会話に無理やり割り込んできたラキスケが、両脇にワタクシとアヤメの腕を挟み込んで猛スピードで村のはずれまで連れていきましたわ。
「なんですのよ」
「ナンデスノヨじゃないですよ! なんで自分から出禁煽りムーブかましてんですか!」
「急にテンプレ爺さんが出てきたからつい」
「"つい"でバッドエンド直行せんでください! とにかく、あの長老の許可が無いと山道には入れないんですからね!」
「別にそんなことありませんわよ?」
「は?」
※ ※ ※
「らっしゃい! どんな武器をお求めですかい?」
どんなにショボくれた村にも武器屋はある。実にお約束ですわね。店内に並べられた数々の武器から、壁に立てかけられた刀剣類を物色してまいりますわ。
「振り回しやすそうなのがいいですわね」
「……あの、アン様。戦いに武器が必要なのはわかるんですが……なんでこのタイミングで? モアフゴーの街の方が品揃え良かったと思うんですが……」
ラキスケが頭に疑問符を浮かべてらっしゃいますわね。
「別に品揃えなんてどーでもいいんですわ。……あら、このプラスチックの剣、軽くていいですわね」
「いやいや、それでどうやって戦うんですか」
「アン~見て見て! この木刀カッコよくない? 柄にシンセングミって書いてある!」
「……土産物屋かここ?」
ラキスケのツッコミに、武器屋の親父がダッハッハと豪快に笑いましたわ。
「そっちは観光客向けなんだわ。兄ちゃんみたいな本職用はホレ、こっちだ」
と促された反対側の壁には本格的な剣が何本も立てかけられていましたわ。
「おお、これは……!」
あらあら、夢中になって次々手にとってますわ。オトコノコって本当に剣が好きですわよね~。木の棒与えても喜んで振り回しますわよきっと。
「うーん、この剣なかなか……!」
「おっ、兄ちゃんお目が高いね。そのアイスソードは一級品だよ。なによりダール火山に棲息するゴーレムどもには効果てきめんだ。持ってて損はねえぜ」
「ゴーレムが棲息……? たしか、ゴーレムは人の手が入らなければ生まれないはずでは?」
「あー……いや~、それは……」
武器屋の親父が髪の絶滅した頭をポリポリ掻きながら口よどみましたけれど、無論ワタクシはその理由を知っておりますわよ。
「十数年前、この村の呪術師が失敗作のゴーレムを大量に山に廃棄したんですのよ。呪術師が亡くなった後、入れ損なった魂の代わりに、もともと火山に棲んでいた火の精霊たちに乗っ取られてモンスター化したってわけですわ」
「お、お嬢さんよくご存知で……」
「なるほど。では、ますますこのアイスソードは必要ですね」
「そうかしら?」
「いざとなったら、そのオモチャの剣の代わりにボクがお二人を守らないといけませんから」
ま、いいですわ。……そうやってカッコつけたがるのもオトコノコですものね。
※ ※ ※
「あそこがダール火山の登山口みたいですね」
装備を揃えたワタクシたちは村の火山側の出口にやってきましたわ。山道へ続く道は背の高い門と鉄柵で塞がれ、屈強な男が二人も見張りに立っていますわ。
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