脱げよオアシス!増えよ金!咲いて見せろよ百合の花!の巻(12)
「うわあ……さすが、右も左もお嬢様ですねぇ」
ワタクシたちは今、アマルカネ邸近くの草むらに隠れて大勢の人が集まる正面玄関の様子を伺っておりますわ。
「ラキスケ、よだれ出てますわよ」
「おっと」
ま、ラキスケが興奮するのも無理ありませんわね。数十人ものお嬢様たちが、ご自慢のきらびやかなパーティードレスに身を包んで会場入りしていきますわ。みなさん、この富豪だらけの集会でより良いつがいを見つけようと必死なのですわね。
「それじゃあラキスケ、お嬢様たちに見惚れて自分の仕事を忘れないようにね」
「大丈夫ですって。……では、また後で」
「ええ。……アヤメ、ワタクシたちも行きますわよ」
「…………!」
最後尾に並んで順番を待ちますわ。行列の先頭……玄関前では、黒服の大男が並んだお嬢様たちを頭から爪先までねっとりと睨め回し、まるでヒヨコの雄雌を分別するかのように合格と失格とを仕分けていきますわ。正直、あまり良い気分はしませんわね。
「次。この街の者であれば家名を述べよ。でなければ俺が入場資格の有無を判断する」
呼ばれたワタクシは大男の前に立ち、オーダーメイドの真紅のイブニングドレス……そのくるぶしまであるスカートを大きく翻すと、大胆に開いた胸元を見せつけるように前屈みになり、上目遣いでじっと男の目を見つめましたわ。
「……さあ、アナタでワタクシを値踏みできるかしら?」
「む…………」
「……………………」
続いてアヤメがワタクシの隣に立ち、清楚さを際立たせる真っ白なドレスのスカートの裾を、同じくらい白い細腕で軽く優しく持ち上げ、天使のように微笑みかけましたわ。うーん、本性がガサツで凶暴な女にはとても見えませんわね……。
「むむ…………」
「ふふ……ワタクシたちに家名なんて必要ありますこと?」
「むむむ…………」
"よい。そのふたりを通せ"
空から野太い男の声。喋ったのは、ぱたぱたと飛んできた異様に目の大きなオウム。声の主、アマルカネが魔力で遠隔カメラ兼マイクとして操っているようですわね。
「承知しました。……入っていいぞ」
「どーもですわ!」
「…………!」
ハァ~! ワタクシたちの美貌にかかればチョロッチョロのチョロですわね~!
通された大広間には巨大なシャンデリアが吊るされていて、その真下――最も光を浴びる場所に黄金の指輪が飾られたガラスケースがありましたわ。よっぽどご自慢なのでしょう、主人のアマルカネがお腹の脂肪を揺らしながら、来場者にいちいち指輪の見どころを説明していらっしゃいますわ。
「今はまだ指輪の周りに人が多すぎますわね。ま、そのうち物珍しさも無くなってみんな目を離すでしょうから、その時を待ちますわよ」
「…………!」
コンタクトの通信機能を使ってアヤメとラキスケに状況を伝え、しばらくは怪しまれないようパーティーに溶け込むことにいたしますわ。
「おい……誰だあの方は?」
「初めて見る顔だが……実に見目麗しい」
あら? 皆さまワタクシの噂をしてらっしゃいますのね~! 有り余る美貌のせいで存在感を消すのも難しいですわね~!!
「見ろ、あの長い銀髪。シャンデリアの光を反射して、まるで宝石のように輝いている……!」
あら、ワタクシは金髪ですわよ? 目ン玉洗ってよくご覧なさ……って、誰ですのアレ? ガラスケースの前でジィッと指輪を見つめる美少女がひとり。年の頃は十代後半くらいかしら。少しウェーブがかった銀色の髪。切れ長の瞳は大人びていて、それでいて無邪気さの残る表情はどこかあどけなく……。不思議と目が離せない魅力がありますわね。ワタクシたちを除くパーティー参加者の中では飛び抜けて美しいですわ。
……って、つい見惚れていたらこちらに向かって来ましたわね。
「私、リリィと言います」
いかがでしたか~~~~!
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