脱げよオアシス!増えよ金!咲いて見せろよ百合の花!の巻(4)
その直後、こちらに近付いてくる影が遠くに見えましたわ。YES、タイミングばっちりですわね~。
「お~い! こっちですわ~! お~い!」
※ ※ ※
「やれやれ、これでどうにか砂漠を抜けられそうですわね」
今、ワタクシたちは通りががったキャラバン――ラクダに荷を載せて砂漠を渡る商団――に助けられ、彼らの後ろについて歩いておりますわ。
「あの……アン様はモアフゴー行きのキャラバンが来ることを知ってたんですか?」
「もちろんその通りですわ。彼らは道中、必ず本物のオアシスに立ち寄るルートを選びますの。だからオアシスにさえ辿り着いていれば砂漠はクリアーしたも同然だったんですのよ」
「なるほど、いつもの『ワタクシ世界のすべてを知っておりますわ~』は妄言じゃなかったんですね」
何気に失礼なこと仰ってますけど、今は気分がいいから許しちゃいますわ。
「ところで、あとどれくらいで着くのかな? あたし、ちょっと商人さんたちに聞いてくるね」
アヤメの疑問ももっともですわね。ワタクシがデバッグしておりましたゲームは世界の縮尺がかなり小さかったわけですから、こうして実際の距離とは感覚がかけ離れておりますのよね。
「聞いてきたよ~。順調に行けば夜中には着く予定だって。あと半日くらいだね」
はっ……!?
「半日!? この直射日光照りつけるクッソ暑い中を半日!? 歩く!? 右足と左足を!? 交互に前に出す行為を!? あと半日も!?」
「ア、アン様落ち着いてください! アン様はご存知ないかもしれませんが、実はこの砂漠は……」
「砂漠は!?」
「暑くて……」
「暑くて!?」
「広いんですよ」
「くああ知ってますわよそんなこたぁ! あーもうダメ! ポー……ちょっ! ラキスケお離しなさい!」
「だーっ! マイケルやっちゃダメですよ! キャラバンの人に見られたらまた次の街でも出禁になりますって!」
「くっ……!」
……あ、諦めて歩くしかないですわね……。うう、靴に砂が入って気持ち悪いですわ……あとお腹も空きましたわ……。
「まー、がんばってモグモグ街まで歩こうよモグモグ」
「ちょっとアヤメ、あなた何食べてますのよズルですわよ。ワタクシにもお寄越しなさいな」
「いーよ。はい」
手渡された木串に刺さっていたのは、実に美味しそうな…………美味しそうな…………サソリの丸焼き、ですわね……。
「ほ、他に何か……」
「無いの知ってるでしょ?」
「ぐぬぬ……」
こ、このままでは砂漠を渡りきる前に倒れてしまうのは確か……。こ、こうなったら食べるしか……ありませんわね……。くっ……むむむっ……! 勇気を……勇気を出すんですわよワタクシ……! ぐぬぬ…………!
「……………………………………」
…………なにか妙な視線を感じますわね。主に隣を歩くラキスケの方角から。
「なんですの?」
「いえ、お気になさらず。どうぞ存分にお食べください」
「……まあ、いいですけど」
それでは改めまして……。くっ……ぬぬっ……お、思い切って……口の中へ……ぐぐっ……!
「う、うげっ……。うぅ……気持ち悪いですわ……」
なんでワタクシがこんなものを……苦い……ぐちょぐちょしてる……涙目……。
「…………………………いい」
「な、なんですのラキスケ。なんで薄笑いを浮かべてこっち見てるんですの……」
「いやその、アン様が一般庶民の下卑た食事が口に合わず悶絶しているところ、いかにもお嬢様らしい仕草で大変興奮するな、と」
「砂食って死に遊ばせ」
いかがでしたか~~~~!
お気に召しましたら「ブックマーク」と「ポイント」で応援いただけたら、ワタクシとっても嬉しいですわ~~~~!
それから、よろしければ一言コメントで読者様がこれまでに体験した「おもしろバグ」をご報告くださいな!
もしランク上位に入って次回作を書く機会ができましたら参考にさせていただきますわ~~~~~!!




