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99 再会。姉はとんでもない人物だった……!?


「さて……、ダイアナからの連絡を受けて、お前が来た時に備えて色々頼み事を考えていたんだが……、もういい。後は好きにやってくれ」


 疲れた表情のギルドマスターは虫を払うように手を振った。


「いいんですか?」


「そりゃあなあ……。借りを作りすぎだろ」


「そんな風に捉えてもらうと、俺としては困るんですけど」


 ギルドに恩を売るためにやったことじゃないんだけどな……。


「まあいい……。とりあえず、こちらから依頼することは今のところはない。また何かあったら頼む。お前の方からは、他に何かあるか?」


「今は特にないです」


「よし、話は以上だ。通常の依頼をこなす場合は受付を使ってくれ。特殊な場合は俺を呼べ。受付には話を通しておくので、それで頼む」


「分かりました。それじゃあ、失礼します」


「それでは確認が取れたことですし、私もこれで失礼します」


「おう。まるもっちー、重ね重ね感謝する」


「いえ、こちらこそ色々便宜を図って頂き、ありがとうございました」


「シモーヌ、待たせてすまなかった。報告書をあげてくれたら、後は自由だ」


「私は数日滞在したらタマリの街へ帰ります。関連書類は明日提出しますので」


 報告を終えた俺たちはギルドマスターの部屋を辞去した。


 ギルドを出たところでシモーヌさんが呼び止めてきた。


「まるもっちーさん。ここまで連れてきてくださり、ありがとうございました」


「いえ、無事辿り着けてよかったです」


「まるもっちーさんとミミちゃんのお陰で、街道も通れるようになったので、帰りは一人でも問題ないです」


「さっきの話だと、あと何日かしたらタマリの街へ帰る予定なんですね」


 もう少しゆっくりしていけばいいのに、なんとも忙しい話だ。



「ええ。街道が通れるようになればタマリの街のギルドも忙しくなるので、あまり長居はできそうにないですね」


「よかったら帰りもお送りしましょうか?」


 俺が送れば短時間で帰れる分、この街に居られる時間を増やせるかも。


 そう思って聞いてみる。


「いえ! 結構ですから! 帰りは馬車を利用しますのでご心配なく!」


 シモーヌさんは必死の形相かつ、全身を振って断ってきた。


「そ、そんなに全力で拒否しなくても……」


「すみません、つい……。帰りは心にゆとりを持っていたかったんですよ……」


 シモーヌさんはどこか遠くを見つめ、光を失った顔で淡々と答えた。


「わ、わかりました。それでお姉さんにはもう会えましたか?」


 これ以上この話題をするべきではないと悟った俺は、お姉さんのことを尋ねた。


 三日あったし、うまく会えただろうか。


「いえ、泊り込みで報告作業と事務作業の手伝いをしていたので、まだです。一応、これから姉の家に行って帰りを待つつもりなのですが、帰って来るかどうかわからないんですよね……」


 腕組みしたシモーヌさんが悩ましげに答えていると、背後から威勢の良い声が聞こえてくる。


「シモーヌ! 迎えに来たぞ」


 そう言って手を掲げるのはパンツスーツ姿の女性。

 眼鏡をかけ、キリッとした凛々しい表情の頭部には兎耳が生えていた。


「あ、姉さん!」


「おお?」


 俺はシモーヌさんの声に反応し、二人を交互に見た。


 外見はかなり違うが、雰囲気が似ている気がする。


 お姉さんは仕事が忙しいと聞いていたのに、なぜこんな所に。


「お前がこっちに来たと聞いてな。仕事を切り上げて迎えに来たぞ」


「忙しいのにごめんなさい。その、体の方は大丈夫なの?」


「うむ、問題ない。全快している。触って確かめてみなさい」


 そう言って両腕を広げるお姉さん。


「心配したんだから……。本当に無事でよかった」


 涙目になったシモーヌさんはお姉さんの胸に飛び込んだ。


「で、お前がまるもっちーか? 妹が世話になったな」


 お姉さんはシモーヌさんを抱きしめて頭を撫でながら、俺に声をかけてきた。


「あ、はい。まるもっちーと言います。初めまして」


 頭を下げ、自己紹介する。


「ああ、私はバルバラ。シモーヌの姉であり、この街の街長を勤めている。お前の話はダイアナとケヴィンから聞いた。寄付の件、感謝する」


「おお、バルバラさんは街長だったんですね。現金の寄付じゃないので使い勝手が悪いかもしれないですが、役に立ったのならよかったです」


「アックスブルはこの街の特産品だからな、非常に助かるよ。それに現金の寄付なら、少し前に大量に貰ったばかりだ。心配するな」


「そうだったんですね」


 多額の現金を寄付できるなんて、凄い人がいたものだ。


「うむ。奇特な奴もいるものだと思ったら、魔金級の冒険者が金剛級を目指すためにやっていると、回りくどい言い訳をしてきたな。見た目まで商人風にして装って打算ありありという感じを演出する念の入りようだったが、目を見ればどういう奴かなんて一発で分かる。そんな言い訳をしなくてもいいのだが……」


 バルバラさんは当時のことを思い出しながら眉根を寄せる。


 て、手柄が欲しくて寄付したんだからね! とか言ってそうなくらいにツンデレだな……。


 しかし、その外見の特徴、覚えがあるぞ。



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