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98 臨時報酬ゲット! とんでもない金額に……!


 ソファに座って書類を書いていたシモーヌさんは予想通りといった顔である。


 ていうか、シモーヌさんはもうギルドに来ていたのか。


「土砂崩れは綺麗になってました! 専門家に見てもらう必要がありますが、仮設の橋が出来ていました! 全て聞いた通りでした! その辺りも含めて仕事を再開します」


「おお……、そうか……。ご苦労だった」


「戻ります。次呼んだら、ぶっ飛ばしますからね?」


「あ、ロザリーさん。これ差し入れです、皆さんでどうぞ」


 俺は癒やし効果を注いだ大量の月見団子が入った袋を渡した。


 ギルドの皆さんには頑張ってもらわねばならないし、これで元気を取り戻して欲しい。


「ありがとう……。仕事、頑張るわ」


「一応、時間内には着きましたけど、何か俺にできることがあるなら手伝いますよ」


 俺がアックスブルを大量に持ち込んだせいで仕事が増えたのは事実だ。


 仕事がはかどるなら雑用でも何でもいいから協力したい。


「あれは冗談よ。この街に来たばかりの君に頼めることはないわ。君は冒険者なんだから、依頼をこなしなさい。ギルドの仕事は職員がするものよ、分かった?」


「は、はい……」


 凄くかっこいいことを言って、断られてしまう。


 しかし、ギルドマスターとやりあっていた全てを見ているので、何とも言えない気分だ。


「差し入れ、ありがと。これ食べて皆で頑張るから」


 そう言って、袋を掲げて笑顔を見せたロザリーさんは部屋を出て行った。


「どうやら、本当に土砂を撤去してくれたうえに、足場を作ってくれたようだな」


「信じてもらえたみたいですね」


「これは報酬を出さないとな……」


「依頼を受けたわけでもないですし、いらないですよ」


 誰かに頼まれたわけでもないし、自分からやったことだ。


 それなのに、してやったから金を出せというのもおかしな話になってしまう。


 ここは、断らせてもらおう。


「そうは言ってもなぁ……。本来なら何十人も使い、何日もかけてやるような作業だぞ? 払わんわけにもいくまい」


「ロザリーさんたちの臨時報酬に上乗せしてください。結局、後処理を任せる形になりましたし、その方がいいと思います」


 これからの事後処理はロザリーさんたちが受け持つ。


 お世話になるという意味でも、俺に支払われようとしている分は向こうに回してもらおう。


 お手伝いが出来ないなら、これくらいはさせてほしい。


「お前はそれでいいのか?」


「はい、もともとお金が貰えると思ってやったことでもないので」


「全く払わないというのも問題があるから、作業に掛かったであろう経費から金貨百枚を出す。残りの差額分は職員の臨時報酬に上乗せするのと、別の修復作業の人員補充に使わせてもらう。これでいいか?」


「お任せします」


 全く受け取らないのも角が立つし、これくらいが落としどころなのかもしれない。


「なら、こいつを受け取ってくれ。助かった」


「はい」


 どっしりとした重みのある袋を受け取る。


 袋を開けて中身を確認すれば、金貨がぎっしり詰まっていた。



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