表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/322

93 交渉成立。とんでもない交渉結果に……!


「あ、必要な分だけ言ってもらえれば、後はこちらで預かっておきます。しばらく滞在する予定なので、その間に小出しにしていきますよ」


 よくよく考えれば一度に全てを渡さなければいいだけの話だ。


 しばらく滞在し、相手の負担にならない程度に小出しにしていけばいいだろう。


「それで頼む! ポーラ、聞いての通りだ。何頭ならいけるんだ?」


「まあ、街の中と外へ出す分を合わせても五十が限界ね。今は細々とやってるし、王都方面の街道が通れるようにならないことには、どうにもならないわ」


「まるもっちー、まずは五十で頼む。ここに留まるってことは依頼をこなす予定なんだろ?」


「はい、色々とやってみようかと思っています」


 復興のお手伝い的依頼があるなら積極的にこなしたいよね。


「なら、手持ちがはけたら連絡する。それまで残りのアックスブルはそっちで預かっておいてくれ」


「分かりました」


 俺がギルドマスターの言葉に頷いていると、ポーラさんが半眼でこちらを見てくる。


「色々、聞きたいこととか、突っ込みたいことがあるんだけど……」


「そういうことを聞くのは野暮ですよ、ポーラさん」


「……ポーラ、ロザリー、諦めろ。そういうものだと思って受け入れるんだ」


 三人は俺のアイテムボックスについて何か言いたいようだったが、寸前で言うのを止めていた。


 聞かれたらある程度は答えるつもりだけど、あまり言いたくはないので助かる。


「そうするわ。それじゃあ、早速五十頭を頂こうかしら。この辺りに出してもらえると助かるんだけど」


「この辺ですね。じゃあ、行きますよ?」


 ポーラさんが指し示した場所にアックスブルを並べていく。


 五十頭を数え易いように配置し、終了。


 なんだろう、窃盗品の押収写真みたいになってしまったな。


「……異常だわ」


「……目の前で仕事が増えていく」


「呆けてないで数を確認しろ」


 ギルドマスターが、ぼうっと立ち尽くすポーラさんの横っ腹を肘でこつく。


 はっと我に返ったポーラさんは、アックスブルの数を確認。

 一頭一頭軽く状態を見ながら、数えていく。


 そして、ポーラさんの数える数字が増えるたびに、ロザリーさんの顔が白くなっていく。


 なんか悪いことした気分になってくるな。


「問題ないわよ。大体、買い取るわけでもないんだから数が多少合ってなくても問題ないでしょ。これ全部、寄付するって言ってるんだから」


「まあ、そう言われればそうだな……。こうやって見ると尋常じゃない量なんだが、本当にいいのか?」


「はい、街の復興に役立ててください」


「助かるぜ。じゃあ、俺の部屋に戻るぞ。シモーヌが待ってる」


「わ、分かりました」


「ケヴィン、解体が済んだらどうするんだい?」


「事前に街長に話を通してあるから、後はそっちに引き継いでくれ」


「分かったよ。じゃあ、私も仕事にかかるかね」


「まるもっちー、お前はこっちに来い。ロザリー、ポーラとの打ち合わせが済んだら俺の部屋へ戻って来い」


「……はい、行きますとも」


「それじゃあ、失礼します」


 魂が抜けたような顔のロザリーさんを視界の端で捉えながら、ポーラさんに挨拶する。


 俺は、軽く手を振るポーラさんに頭を下げ、倉庫を後にした。


 もう一度執務室に戻るんだっけ?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ