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89 受付で説教!? とんでもない展開に……!?


「えっと、シモーヌさんのお姉さんも冒険者ギルドに勤めているんですよね?」


 道すがら、はたと気付き、尋ねる。


 なんとなく、お姉さんも冒険者ギルドに所属していると思い込んでいたが、実際はどうなんだろう。


「いえ、違いますよ?」


「すみません。てっきりそうだと思い込んでいました。じゃあ、どこに向かえばいいんでしょうか」


「それは後回しにしましょう。報告しなければならないことがあるので、先に冒険者ギルドへ行きましょう」


「そうですか? 分かりました」


 そういえば、シモーヌさんはギルドの仕事も兼ねてこの街に来たのだ。


 再会は後回しにして、仕事を済ませてしまいたいのかもしれない。


「まるもっちーさんも、この街で活動するなら、依頼を受ける前に手続きをしておいた方がスムーズに事が進みますよ」


「手続き?」


「はい。街を出るときは必要ありませんが、新たな活動拠点となる街に到着した時には、依頼を受ける前にカードの提示が必要なんですよ。移動期間中は依頼を受けれないので、移動中の日数を削除してもらうんです。ランクによって違いますが、一定期間依頼を受けていないと資格剥奪になりますからね」


「そうだったんですね」


「まるもっちーさんはタマリの街にいた期間が短かすぎたんですよ。本来は依頼を受けつつ、他の冒険者と交流を図ったりしていくうちに知るようなことですから」


「確かに……。一週間も居なかったからなあ」


「まあ、そういうわけなので、まるもっちーさんは更新手続きをしておいてください。その間に私は報告を済ませておきます」


「分かりました」


 ギルドへ到着後、シモーヌさんは従業員出入口から中へ。


 一般冒険者の俺は正面入口から普通に入った。


 更新手続きをしようと、早速受付へと向かう。


 受付担当は山羊っぽい巻き角を生やした女性だった。


「シプレの街のギルドカウンターへようこそ。受付担当のロザリーが承ります」


「あの、タマリの街から来たんですけど、更新手続きをお願いします」


「え……、タマリの街から? 定期便が通ってないのにどうやって……」


 俺の言葉に、ロザリーさんが驚きの表情を見せる。


「普通に歩いて来ました」


「ぇぇ……、危ないことするわね。店を構えるのを夢見る行商じゃないんだから、無理は禁物よ。それともランクが高い人?」


「いえ、鉄級です」


「ちょっと! ダメじゃない! 腕に見合った行動をしないと、命が幾つあっても足りないわよ?」


「す、すみません」


 ロザリーさんに怒られ、謝る。


 どうやら無謀な冒険者と思われてしまったようだ。


 でも、無理なことは何もしてないんだけどなぁ。


「うーん、ミルティユの街へ追い返すのは危険だし……。イリスの街方面へ移動する? そっちは定期便も通っているし、大丈夫よ」



「反対方向の街道は普通に通れるんですね。それなら、物資が途絶えたりしているわけではないんだ」


 イリスの街。聞いた事はないが多分、俺が進んできた方向から見て、この街の先にあるんだろう。


「まあね。街道が完全に遮断されて陸の孤島になっているわけじゃないわ。まあ、片方の道が通れないのは地味に痛手だけどね。だから依頼を受けたいなら、無理にこの街に留まる必要は無いのよ?」


「いえ、できればこの街にしばらく滞在したいのですが」


「ふうん、物好きねぇ。まあ、今は鉄級の貴方でも依頼は選り取り見取りで豊富よ。それじゃあ、ギルドカードを見せてちょうだい」


「はい、どうぞ」


「……本当に鉄級でタマリの街から来たのね。手前のミルティユの街でも依頼はあったでしょうに」


 カードを確認したロザリーさんが呟く。


 まだ信じてもらえていなかったのか。


「移動の途中で立ち寄った街でも冒険者ギルドで手続きしておいた方がいいのでしょうか?」


 そういえば、ミルティユの街のギルドには行っていないことを思い出し、尋ねる。


 買い物しかしてないけど、行った方が良かったのかな。


「ああ、鉄級ってことは、知らないわよね……。依頼を受けないなら立ち寄る必要は無いわ。その街に留まって依頼をこなす場合は、移動の記録を残すので、依頼を受ける前に受付に来て欲しいわね」


「なるほど、わかりました」


 と、説明を受けていると、ロザリーさんがギルドカードを確認しながら別の書類を見始めた。


「あら……、あなたのことはタマリの街から連絡が来ているわ。個人のことで連絡が来るなんて珍しいわね。ギルドマスターとの面会必須なんて、貴方何やったの?」


「大したことじゃないです。ちょっと持ち込みが多いので、事前に連絡がいっただけだと思います」


 ダイアナさんが、アックスブルの件で手を回しておいてくれたのだろう。


 鉄級の俺からギルドマスターに面会を希望しても、会う時間を作ってもらえるか難しいもんね。


「持ち込み? まあいいわ。それじゃあ、執務室に案内するから付いてきて」


「はい」と返事をし、受付の中へ入り、ロザリーさんの後についていく。



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