85 ミミの特技炸裂! とんでもない結果に……!?
『歩いて渡れるように出来ればいいの?』
イメージが湧かないのか、詳細を聞いてくる。
「そうそう、飛び越えなくてもいいようにしたいんだ。できれば、頑丈で大きなやつね。幅が広ければ助かるな」
大きくて頑丈であれば、使い道も増えるだろう。
『わかった! やってみる!』
「頼んだ! 頑張れ!」
ミミの言葉に俺はサムズアップし、エールを送る。
力強く頷いたミミは崖のそばまで近づき、周りを調べ始めた。
「ミミちゃん? 何をやるんですか?」
「まあ、見ていて下さい」
ミミに近づこうとするシモーヌさんを手で制する。
近くにいると危ないかもしれないからね。
『……こうで……こうなって……。こんな感じかな……』
腕組みして悩みながらイメージを高めていくミミ。
そして、両手を前にかざし、叫んだ。
『う〜ん……。よいしょ〜〜〜〜〜ッ!』
掛け声とともに崖の側面から複数の大木が生え、対面の崖に向かって伸びていく。
複数の大木が横方向に伸びながら絡み合い、緩やかにアーチを描く。
そして向こう岸についた木は一旦地面へ深々と突き刺さり、奥深くまで潜り込む。
ミミ特製、巨大な橋の完成である。
『できたよ!』
ミミがぴょんと飛び上がりながらこちらへ振り向く。
その顔は満面の笑み。納得の出来なのだろう。
「お、おう」
俺は余りの完成度に言葉を失ってしまう。
簡単な丸太橋のようなものでも出来れば、橋を作りなおすときの足場として役立つだろうと思ったら、巨大かつ見事な橋ができてしまったのだ。驚いて声が出なくなるのも仕方ない。
「ぇぇ……」
シモーヌさんも俺と同様の感情を抱いたのか、語威力を失って絶句していた。
『ダメ?』
俺たちの反応が薄いせいで、ミミが不安そうに聞いてくる。
「ううん、余りにも上手くできているからびっくりして言葉がでなかったんだ」
『えへへ、凄い?』
「うんうん、ミミは凄いなぁ。こんなものを作れるなんて大したものだよ。こんな大きな橋を作ってくれてありがとうね」
俺はミミの頭を撫でながらお礼を言った。
しかし、凄い完成度だ。幅や規模だけなら結界装甲陸船が通れる大きさはある。
とはいっても、重量の関係で結界装甲陸船を載せるのはちょっと勇気がいるが、馬車程度ならびくともしないだろう。
もちろん人なら余裕で行き来が可能だ。これを足がかりに橋を作りなおしてもらえば作業もはかどるに違いない。
ただ、大木を編みこんで作ったものだから、木の丸みが残っている。
そのあたりは少し手を加える必要があるかもしれないな。
「橋が崩れているって聞いた時はどうなるかと思ったけど、何とかなったなぁ」
無事、橋が崩落したエリアも突破できたうえに、おまけで橋もできた。
聞いた話ではこれ以降に難所はない。
後はシプレの街を目指して進むだけ。
よーし、頑張るぞ。




