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74 到着。そこはとんでもないところだった……!?


 しばらく歩き、商業区へ辿り着く。


「おお、賑わってるな」


『人がいっぱいだね!』


 売る人も買う人もローブを着ている人が多い。


 やっぱり魔法使いの人が多いのかな。


 背中から小さなコウモリの羽根が生えている人や、先端がハート型の尻尾が生えている人は初めて見たかも。肌の色も青や赤といった今まで見なかった色味の人もいる。


 タマリの街とは違った雰囲気だが、とても活気がある。


 こっちはファンタジーはファンタジーでも、マジカルな感じだ。


 どの店も看板が動き、目を引く。中には点滅しているようなものまである。


 上を見ればバルーンに垂れ幕がついたものが浮いていた。


 垂れ幕には映像が表示され、色々な商品の動画が流れていた。


 その横を二羽の鳩が垂れ幕を加えて飛び去っていく。なんとも華やかな感じだ。


 ほとんどの店がガラス張りで店内が見えたり、ショーウィンドウが設置されたりしていた。


 ショーウィンドウには用途不明の物が飾ってあったりする。


「置き物かな?」


 ミミと二人で覗き込んでいると、急に動き出したりして驚かされる。


「それじゃあ、色々と見て回ろうか」


『不思議なものがいっぱいだね!』


 まずは、無目的に色々な店を覗いて回る。


 ジョゼさんとヴィヴィアンさんが紹介してくれた店は最後に取っておこう。


 俺はミミと手を繋いで、買い物へと繰り出した。


 色々と見て歩いた結果、目に留まるのはやっぱり食べ物。


 タマリの街と距離が離れたせいか、向こうでは見かけなかった野菜や果物を見ると、つい買ってしまう。


「買いすぎたかな……。でも、味が気になるんだよな」


『美味しいかな?』


 野菜と果物を買い、側で売っていた調理器具も一通りそろえた。


 お金に余裕があるので、色々買えるのはありがたい。


「それじゃあ、教えてもらって店にいってみるか」


『はーい』


 貰ったメモを頼りに、まずはジョゼさんが教えてくれた店へと向かう。


「これは……、店……なのか?」


『崩れそう!』


 物が山積みにされ、店舗が隠れて見えない。入り口も分からないほどだ。


 ここか? と隙間から恐る恐る侵入する。


 中を見て回るも、ガラクタにしか見えないものがゴチャゴチャと積まれている。


 そんな物に混じって、新品と思わしき品も見える。


 見た目通りに判断していいものかどうか……。


 何が良くて、何が悪いのかさっぱりだ。


 これはさすがに専門の知識がないとどうしようもない。


 店員に話しかけられて、買うしかない空気になると厄介だと感じた俺は即撤退。

 さすがに難易度が高すぎた。


 ここで買い物するならジョゼさんの同伴が必須だろう。


「よし、気を取り直してヴィヴィアンさんの教えてくれた店に行ってみるか」


『おー!』


 次に、ヴィヴィアンさんお勧めの店へと向かう。


「これはこれで真逆な……」


『ピカピカしてるね』


 店舗の外観は高級感漂う佇まい。一見さんお断りの空気感が半端ない。


 これ、入って大丈夫なんだろうか?


 と、躊躇した俺は窓から店内を覗いてみる。


「これは……」


 異常に空間が開いた展示スペース。


 全ての商品はガラスケースに納められ、来店した客一人に対し、笑顔を絶やさない店員がマンツーマンで対応。


 売られている商品も、豪華な装飾が施され、無駄に高そうだ。


「今の俺にはまだ早い気がするけど、入るべきか……?」


 逡巡していると、トントンと背を叩かれる。


 やばい、不審者と思われたか?


 慌てて振り向けば、タマリの街のギルドで受付をやっていたシモーヌさんが立っていた。



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