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67 対決! 激闘の末、とんでもない結果に……!


 それからしばらく時間を置いて、ジョゼさんの様子を見に部屋へ窺う。


「失礼します。調子はどうですか?」


「やあ、まるもっちー君にミミ君」


 すると、元気そうに動き回っているジョゼさんが出迎えてくれた。



「もう体の方は大丈夫なんですか?」


「ああ、お陰様ですっかりさ。むしろ調子が良すぎて気味が悪いくらいだ。いつもなら、結構尾を引くのに、今回はそれがない。体が軽くてびっくりするぐらいだよ」


 そう言いながら、力こぶを作るポーズをする。


 完全回復といった感じだ。少しは癒やし効果スキルの影響もあるのかな。


「すっかりお世話になってしまったし、夕食でも一緒に、ど、どうかな?」


 頬を赤らめたジョゼさんが緊張した面持ちで夕食に招待してくれる。


「はい、喜んで」


「う、うむ。じゃあ行こう」


 どこかぎこちない動きでジョゼさんが部屋を出る。


 よく見れば右手と右足が同時に出ている。


「ジョゼさん、ぬいぐるみはいいんですか?」


 部屋を訪ねてから今まで、ジョゼさんはぬいぐるみを持っていなかった。


 話すときはいつも持っていたのに大丈夫かな。


「そ、そうだな、持っていこう。君たちと話しているときは多少落ち着いて話せるようになって来たが、やはり心配だ」


 そう言いながら部屋へ戻ろうとするジョゼさん。


 その動きは油が切れた機械のようにカクカクだった。


 余りにぎこちない動きのせいか、周囲に気を配ることが出来ていない。


 そのせいで前から人が来ているのに気付いていなかった。


 こちらへとやってきていたのは、ヴィヴィアンさんだった。


「あ、危ない」


 と、呼びかけるも時既に遅し。


 ジョゼさんは前からやって来たヴィヴィアンさんと接触してしまう。


「わぷっ」


 身長差のせいでヴィヴィアンさんの胸へ顔をうずめる形となるジョゼさん。


「あら、急に前に進めなくなったわ。どうしたのかしら」


 絶対気付いて居る筈なのになぜかすっとぼけるヴィヴィアンさん


「ジョゼさんとぶつかったからですよ」


 気付いているだろうけど、一応説明しておく。


「あーら、ごめんなさい。小さくて前にいるって気づかなかったわ!」


「なんだとおぉぅッ!」


「ごめんなさいねぇ。私ってほら、足元が見え辛いのよ。分かるでしょ?」


「ぬわぁああにが、見え辛いだ! そんなデッカイものをぶらさげてからに! こんな、こんなもの! こうしてくれるわ!」


「あら〜、そんなに強く揉みしだかれたら、まぁた大きくなっちゃうわぁ」


「なんだとぉおぅ! この、この、このぉお!」


 軽く飛び上がったジョゼさんは額の角でヴィヴィアンさんの胸を突き上げた。


「やん、そんなかわいらしい角でつんつんしちゃって、かわいい」


「うるさぁああああい!」


 急に始まったバトルに俺とミミは困惑。


 顔を見合わせ、首を傾げる。


「ケンカするときは人見知りがなおるのか、ヴィヴィアンさん相手だから遠慮がないのか難しい所だな……」


『二人ともどうしたの?』


 激戦はしばらく続くも、ジョゼさんが俺たちのことを思い出し、冷静さを取り戻した。


「す、すまない、見苦しい所を見せてしまったな。私とヴィヴィは幼いの頃からの腐れ縁でな。他人から見ればどうでもいいことでも、つい張り合ってしまうんだ。お互い火がつくと収まらない性質なせいで収拾がつかなくなる。周囲からは呆れられているんで、どうにかしたいとは思っているんだがね……」


「ごめんなさいね。ジョゼの聞き分けがよければ済む話なんだけど、この子って頑固だから」


「それはお前も同じだろ! いつもどうでもいいことで突っかかってきて!」


 実力が拮抗して、お互いを意識し、目標としているからこそ張り合う。


 いわゆるケンカするほど仲がいいってやつか。


「なるほど、ライバルというわけですね」


 今も言い合いを続ける二人を見ながら、相づちを打つ。


 本当に仲がいいんだな。


 きっと、ヴィヴィアンさんがここを通りかかったのも、ジョゼさんの様子を見に来たためだろう。



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