58 トラブル解決と思ったらとんでもない事態に!?
俺の手を揉むことに満足したミミは『ふぅ』と片手で額を拭う。
なんか、その仕草、俺のマネをしてるっぽいな。
と、見つめていると、ミミがトコトコとフェリシアちゃんとジョゼさんの方へ駆けて行く。
『ねえねえ、握手して?』
二人に両手を差し出すミミ。
どうやら、握手することにはまってしまったみたいだ。
「あ〜、よかったらミミと握手してもらえませんか」
「いいよ!」
「ああ、構わない」
二人は返事と同時にミミと握手してくれた。
俺がもちもちしているという新事実が発覚しつつ、プチ握手会の開催となる。
『うふふ、ミミも握手してもらっちゃった』
握手してもらえたミミはとてもご満悦な様子。ニコニコである。
それじゃあ、そろそろロビーへ向かうか。
フェリシアちゃんを真ん中に俺とミミが両端。手を繋いでの進行となる。
目指すロビーは搭乗口の側にあるので、それなりに距離がある。
急ぎすぎてフェリシアちゃんに不安が伝わっても仕方ないので、のんびり向かう。
しばらく歩いていると、正面から女性がやって来るのが見えた。
女性は、フェリシアちゃんを見て驚きの表情で立ち止まる。
「フェリシア!」
「あ、ママだ」
どうやら、正面からやって来たのはフェリシアちゃんのお母さんのようだった。
フェリシアちゃんは俺たちから離れて、お母さんへと駆けて行く。
「もう、どこに行っていたの! 捜したのよ。そちらの方は?」
「ごめんなさい。うーんと、まるもっちーとミミちゃん!」
「フェリシアちゃんのお母さんですか? フェリシアちゃんが迷子になっていたようだったので、ロビーへ向かう途中だったんです。無事会えて良かった」
「ありがとうございます。少し目を離した隙にいなくなってしまって……。フェリシアもお二人にお礼を言って」
「ありがとう!」
「どういたしまして。お母さんに会えてよかったね」
『よかったね〜』
「うん!」
ロビーへ向かう途中、フェリシアちゃんのお母さんを見つけることに成功した。
お母さんの方もフェリシアちゃんを捜しまわっていたので、意外に早く出会うことができたのだ。スピード解決できてなによりである。
「ばいばい!」
「今度ははぐれないでね」
『ばいば〜い!』
俺とミミは元気よく手を振って、お母さんに連れられていくフェリシアちゃんを見送った。
そして、休憩所へ行き、ジョゼさんにフェリシアちゃんがお母さんと再会できたことを知らせた。
「よし、これで無事迷子事件も解決したし、部屋に行くか」
『おー!』
これでやっと部屋へ行ける。思った以上に歩いたし、一旦部屋で一休みするのも悪くないな。
「あ、あの……」
「どうしました?」
挨拶して別れようとしたらジョゼさんに引き止められる。
「できれば私の連れも捜してもらえないだろうか。実ははぐれてしまって、どこにいるか分からないんだ」
「部屋に戻れば会えるんじゃないですか?」
それなら、ただの擦れ違いだ。フェリシアちゃんのように迷子になっているわけでもない。
取ってある部屋で待機すれば、いずれ会えるだろう。
それとも、急ぎの用件でもあるのかな。
「それは、その……」
「どうしました?」
「…………実は私が迷子なんだ。連れが迷ったような言い方をして誤魔化そうとした……」
新たな迷子を発見してしまった。




