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57 驚愕! あるものの柔軟性に驚きの結果が!?


「俺はまるもっちー。君は?」


 しばらく月見団子を三人で食べ、一息ついたところで名乗る。

 そして、女の子に名前を尋ねた。


「フェリシア!」


「私はジョゼだ」


『ミミだよ!』


 皆で自己紹介を終え、迷子の女の子がフェリシアちゃん、ローブを着たクマのぬいぐるみがジョゼさん、と分かる。


「フェリシアちゃんとジョゼさんだね。じゃあ、一緒にフェリシアちゃんのお母さんを捜しに行こうか」


「うん!」


 俺の呼びかけにフェリシアちゃんが元気な返事を返してくれる。


 どうやら、甘味を食べて少し落ち着いたようだ。


 色々あって驚いたが、トラブルの原因はフェリシアちゃんが母親とはぐれたというだけ。


 要は母親を捜し出せばいいだけだし、問題はすぐに解決できそうだ。



「うむ、迷子のようなんだ。私もなんとかしようと試みたんだが、うまくいかなかったよ。君が来てくれて助かった」


 ジョゼさんが困り果てた顔で呟く。


 クマのぬいぐるみなのに表情豊かだ……。


 いくら人とコミュニーケーションがとれるとはいえ、ぬいぐるみではフェリシアちゃんの不安を払拭する事は出来なかったのかもしれない。


「さて、何から始めようか……」


 うーん、迷子の母親捜しか……。


 船内は広い、闇雲に捜しても見つからないだろう。


 とりあえず、ロビーへ連れて行って、乗務員の人に引き継ごう。


 道中でお母さんに会うことが出来れば、一番いいんだけどな。


「俺はフェリシアちゃんとロビーへ行って来ます。ジョゼさんはここに残ってフェリシアちゃんのお母さんが来ないか見ていてもらえますか?」


「分かった。母親に会えたらロビーへ向かおう」


「お願いします。それじゃあ、行こうか」


 ジョゼさんに残ってもらう形を取り、俺とミミとフェリシアちゃんでロビーへ向かう。

 これで入れ違いになる事もないだろう。


「ねえ、手を繋いでもいい?」


 フェリシアちゃんが手を伸ばしてくる。


 やっぱり母親とはぐれて不安なのだろう。


 こちらとしては、迷子の予防策になるし丁度いい。


「いいよ、ほら」


「わぁ、柔らかぁい!」


 手を繋いだフェリシアちゃんは俺の手が柔らかいと、大喜び。


 むう、自分で触っている分には分からなかったが、そんなに柔らかいのか?


 餅人間だし、モチモチしているのかもしれない。


「ほほう……。すまないが、私も握手してもらっても構わないだろうか」


 なぜかジョゼさんが俺の手の柔らかさに食いつき、握手を求めてくる。


 そこまでフェリシアちゃんのリアクションが凄かったのかな。


「はあ……、いいですけど、普通だと思いますよ?」


 そう言いつつ、もう片方の手を差し出す。


 するとジョゼさんは素早い動きで、俺の手を両手で握ってきた。


 そして手のツボでもマッサージするかのごとく揉みしだく。


 え……、怖い。


「これはこれは…………………………」


 まるで取り憑かれたように俺の手を揉むジョゼさん。


 というか、食べることは出来ないのに、柔らかさは感じる事ができるか。


 フェリシアちゃんとジョゼさんに両手をニギニギされる。


 なんだ、この状態は。


『放さないね?』


 不思議そうな表情でミミが二人を見つめる。


「あのぅ、そろそろ放してもらってもいいですか?」


 さすがに……、と思ったので声をかける。


「はっ!? すまない、余りにもっちりしていたもので、つい……」


「そんなに……?」


 と、自分で触ってみるも、よく分からない。


 やっぱり、つきたての餅っぽい触感なのだろうか。


『ミミもマスターと握手するの!』


 二人の行動を見て感化されたミミが俺に握手を求めてくる。


 ジョゼさんの次はミミか。


「ほいほい」


 手なら良く繋ぐのに、と思いつつも手を差し出す。


 すると、ミミが両手で俺の手を握り、真剣な表情でモミモミし始めた。


『……確かに』


 ミミが難しい顔をしながら深く頷く。そんなにか――。



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