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54 出発。行き先が判明……!

 

 タマリの街へ着き、早速冒険者ギルドへ向かう。


 ギルド内でまるもっちーを捜すも見当たらない。



「おう、村の獲物を持って来る以外でギルドに来るなんて珍しいな」


「こんにちは。ちょっとした心境の変化があったんですよ」


 まるもっちーを捜していると、エドモンさんに声をかけられる。


 私が滅多にギルドへ顔を出さないから気を使ってくれたのだろう。


 相変わらずの世話焼きぶりである。


「金級に上がってからは、資格剥奪しない程度にしか依頼を受けてなかったのに、何があったんだ?」


「もう、相変わらずお節介ですね。ちょっと会いたい人が出来たんですよ」


「へぇ、お前がねぇ。で、どこのどいつに惚れたんだ?」


「そういうのじゃないです! 憧れ? でもないし……、う〜ん、何かしら……」


 エドモンさんにからかわれ、どう答えたものか悩んでしまう。


「言った本人が悩むなよ……。そいつの名前は分かってるのか? こう見えて顔は広いから、居場所くらいは突き止めてやれるかもしれんぞ? 惚れさせてやるのは無理だがな」


「だから違うって言ってるでしょ……。名前はまるもっちー。白くて大きな人よ」


「おい、アイツかよ……。お前の気持ち、なんとなく分かってきたぜ……。アイツの側にいると常識が狂うというか、なんというか。まあ……、なんだ、強烈な影響力がある奴だよな」


 彼の名前を聞いたエドモンさんが目を見開く。


 そして、なぜか同情的な言葉をかけてきた。


 この反応、知り合いなのかしら。


「彼を知っているの? ギルドに行けば会えるだろうと思ったのに、いないのよ。長期滞在の依頼でも受けているのかしら」


「ちげーよ。アイツはシプレの街へ行った」


「え? なんでそんなところに」


 エドモンさんからまるもっちーの居場所を教えてもらう。


 だが、そこは意外な場所だった。


 シプレの街。ブラックドラゴンの被害を受け、定期便も通っていない状態の街だ。


 行くのも一苦労な場所なのに、なぜそんなところに?


「……秘密だ。あまり口外してほしくない感じだったしな。行き先は教えたんだから、勘弁しろ」


「分かりました。もしかして走って行ったのかしら……」


 村まで運んでもらった時のことを思い出し、移動手段を予想する。


 彼なら定期便が通っていなくても、問題なく街まで行くことができそうではある。


「何言ってるんだ? 俺が結界装甲陸船のチケットをやったから、ミルティユの街まではそれで移動してると思うぞ」


「そ、そうなんですね。いけないわ、常識で考えれば定期便か馬車よね……。どうかしてたわ」


 エドモンさんの言葉を聞き、我に返る。


 普通は徒歩で移動なんてありえないのだ。どうかしていた。


 彼もわざわざそんな手段は取らないだろう。


 それにしてもシプレの街か。


 今から向かって街に着くまでに追いつけるだろうか?


 これは、村を出る時は予想もしていなかったほど長い旅になるかもしれない。



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