47 解体依頼! その数がとんでもなかった!
どうやら無事依頼達成となりそうだ。
「それでは、お二人のギルドカードをお預かりします。……はい、これで手続き終了です。後は素材買取所を通して、報酬の受け渡しを行ってください。お疲れ様でした」
「ありがとうございました。シモーヌさん、エドモンさんが来たら、待ってもらうように、言伝をお願いできますか」
「エドモンさんですね? 分かりました」
「助かります。俺もここでの用事が終わったら、すぐ戻りますんで」
「隣同士の施設ですし、そんなに急がなくても大丈夫ですよ」
微笑を浮かべたシモーヌさんは、ギルドへ戻っていった。
依頼達成の処理はされたので、後は素材買取後に報酬の分配をするだけだ。
しばらく待っていると、トレントの死骸を一通り見たハンスさんが話しかけてきた。
「ふむ、皮に深めの傷がついているから、解体してみないと金額をはっきり言えんな。査定結果は明日まで待ってくれ」
ハンスさんから金額は明日まで分からないと告げられる。
それを受けて、ギュスターブさんが腕組みしながら俺に尋ねてきた。
「聞いての通りだ。報酬の受け渡しは、買取価格が確定する明日以降になる。まるもっちーの予定はどうなってる?」
「俺はいつでも大丈夫ですよ」
こちらは何も予定は決まっていないし、ギュスターブさんの都合にあわせてもらって問題ない。
「なら、明日の朝一でどうだ?」
「はい、それでお願いします」
「じゃあ、明日。寝坊するなよ」
明日の朝で大丈夫と了承すると、ギュスターブさんはそれじゃあ、と手を振って素材買取所から出て行った。
報酬の話が終わった俺は、ハンスさんの方へ向き直って声をかける。
「ハンスさん、ちょっといいですか?」
「ん、どうした? まだ他に用があるのか」
「はい。さっきの依頼をこなす過程で、モンスターを倒したんです。それで、素材の買い取りをお願いしたいのですが」
折角、素材買取所まで来たんだし、ついでに倒したモンスターの解体と買い取りをお願いする。
数が結構あるから、時間もかかりそうだし、話だけでもしておいた方がいいだろう。
「分かった。……いや、ちょっと待て。お前の場合はちょっと待て」
が、俺の話を聞いたハンスさんは、手を前に出して待ったのポーズで固まる。
難しい表情で深呼吸を数回したあと、こちらへ視線を向けてきた。
「よし、心の準備ができた。モノを出す前にモンスターの種類と数を言え」
「ラッシュボアが十頭と、アックスブルが二百三十七頭です」
俺は今回解体を依頼したいモンスターの種類と数を正確に述べた。
「……ふぅ。すまんが、もう一度いいか? アックスブルが二百三十七頭と聞き間違えたみたいだ」
「あ、はい。それで合ってます」
ハンスさんはヨタヨタとテーブルの方へと歩いていき、水を一杯飲む。
ふぅと一息ついた後、くわっと目を見開いた。
「合ってるのかよ!?」
そして、叫んだ。
「ラッシュボアが十頭と、アックスブルが二百三十七頭です」
俺は間違いのないように、再度同じことを繰り返した。
「ラッシュボアはギリギリ分かる……。いや、分からないが、――分かる。アックスブルはおかしいだろ……」
ハンスさんは、額に手を当てて考え込むようにブツブツと呟く。
そして俺の方へ向き直って続ける。
「二百三十七であってるんだな?」
「はい」
コクリと頷く。
「なら、分かるよな? ここにそれだけの数のアックスブルを置けると思うか?」
「……無理ですね」
「だよな! 置けないよな! 大群だからな! それが本当の話だとして、そんな数、解体もできないし、買い取りもできないわな!」
ハンスさんが段々ヒートアップしていき、止まらなくなる。ちょっと怖い。
「お前とは会って日も浅い。それでも、お前がそういうことで見栄を張ったり、嘘をついたりする奴じゃないのは分かる。長年こういう仕事をやっているから、人を見ればそういうことは大体分かるようになる」
俺が嘘を言っていないということは、信じてくれるらしい。
それだけ受け入れにくい事実、ということなんだろう。
「後は、お前がモンスターの名前を間違えているか、別のモンスターと勘違いしている可能性があるくらいだ。何か弱いモンスターを大量に倒して勘違いしてるってことだ。だが、それだと倒した数は変わらない。結局、多いのは変わらないんだけどな……」
鑑定スキルで確かめたので、アックスブルで間違いないと思うけど。
「一頭だけ出して、確認しますか」
と、ハンスさんに持ちかける。
全部出さなければ問題ないんだし、一つ出して見てもらうのが一番だ。
「そうだな。そうしてくれ」
「これです」
ハンスさんの了承を得て、アイテムボックスから倒したアックスブルを一頭取り出した。




