415 新たな冒険の始まり
……
ここは、とあるギルドの酒場。夕食時を迎えた店内は活気に溢れていた。
テーブルは全て埋まり、冒険者達が思い思いに酒や食事を楽しんでいる。
そんなテーブルの一つ。三人の冒険者が座る席でのこと。
冒険者達は酒をあおり、噂話に花を咲かせていた。
「おい、聞いたか? 砂漠の街の話」
「ああ、あの話か。半年前くらいだっけ? 水不足が解消されたらしいな」
「それも、すげえ短期間で解決したんだろ?」
それはここから遠く離れたナウテットの街の噂。
日照りが続き、水源が枯れたため大変な状態になったと聞く。
だが、その問題は被害が大きくなる前に解決したと言う話も聞いた。
「その件、たった一人の冒険者が解決したらしいぜ」
「そんな馬鹿な。いくらなんても冒険者に水不足は解決できねえだろ。きっと大雨でも降ったんだよ」
「いや、でも、そういう話なら、俺も聞いたことがあるぜ」
一人の冒険者が大きな問題を解決した、という言葉を聞き、話題が変わる。
「何だよ?」
「温泉の街の話だ。あそこの近くで火山が噴火して、山火事になったんだ」
「ああ〜、あの話か。空気が乾燥してたから、いつ消えるか分からないと言われていたのに、すぐ消火できたんだろ?」
「ああ。それが一人の冒険者が大半を消火したって話だ」
観光の名所として名高いフレアンの街。
そこは火山帯が近くにあるため、温泉が楽しめる。
しかしつい最近、大規模な噴火が起き、大変なことになったと聞く。
森に火が移り、山火事に発展したのだ。
だが、想定される被害を下回る形で速やかに消火され、事なきを得た。
それを行ったのが一人の冒険者だと言うのだ。
「んなわけあるかよ。それこそ雨が降ったんだろ」
「ちげえねぇ! どうせそんな噂話をする奴らは、俺たちみたいに酔ってたんだよ」
「だな! 飲みすぎだぜ。いくら俺たちでも仕事のときは酒を抜くってのによ〜」
二人に否定され、噂話を嘘だと納得する男。
「「「…………」」」
三人とも、ただの噂。
誰かが大げさに話した内容だと、納得したはずだった。
だが、三人の手がピタリと止まり、数秒の沈黙が訪れる。
「ちなみに……、ちなみになんだけどよ……?」
沈黙の後、一人がためらうように問いかける。
「なんだよ」
「一人で解決したっていう冒険者……。そいつはどんな見た目をしてたんだ? 名前でもいいし、何か知らないか?」
「名前は知らねえな。だけど、大きくて、もちもちした奴らしいぜ。子連れだったとかなんとか……」
「やたら美麗な歌を歌う子供か!?」
「そういえば、そんな話もあったような……。急にどうしたよ?」
「いや、俺が聞いた噂話の冒険者も、見た目が全く同じなんだよ。やたら大きくて、もちもちした野郎だって話でよ……」
噂話を仕入れてきた二人は、お互いの話の登場人物が似ていることに驚いた。
仕入先は全く別。事件が起きた場所も正反対。
それなのに、特徴的な人物像は一致。
これは……。
「「「…………」」」
再び押し黙る三人。
「まさかな……。そんな凄え奴がいるわけねえよな」
「ああ、ありえねえぜ。いたらA級どころの話じゃねえ。超人だろ」
「ったく、ひどい偶然だな」
「「「アハハハ、飲むか!」」」
三人の結論。
偶然だろう。たまたまに違いない。
そういう事にした三人は、笑い合ってジョッキを重ね、酒をあおった。
◆
『ねえねえ、マスター』
「なあに?」
ミミに袖を引っ張られる。
ヒソヒソ声で聞かれたので、ヒソヒソ声で聞き返してみた。
『あれって、ミミたちのことかな?』
「そうみたいだね」
前の席で景気良く酒を飲んでいた冒険者の話題。
恐らく、あれは俺たちのことだろう。
うーん、こんなところまで噂になっているとは……。
『うふふ、凄いって言ってたよ』
噂話を聞き、嬉しそうにミミが笑う。
「ミミが一杯頑張ってくれたお陰だよ」
『ううん、マスターが凄いの』
「なら二人の成果だね」
『うん!』
ここは二人のコンビネーションがなせる技だということで納得。
ほんと、ミミには助けられっぱなしである。
「それじゃあ、そろそろ行こうか」
『はあい』
食事も終わったので、ギルドを後にする。
この街では、たまに島が上空を通過するらしい。
空飛ぶ島が観たくて来たが、依頼はどんなものがあるのだろう。
異世界から来た俺にとって、この世界は不思議なもの、神秘的なもので溢れている。
世界を知らない俺とミミは、いつも驚かされてばかりだ。
さあ、明日からミミと二人、新しい依頼をこなして頑張るぞ!
というわけで、お餅モチモチまるもっちー!は、これにて完結となります
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
なんとか完結できました!
途中、更新がストップしてしまい、申し訳ございませんでした。
完結まで書き続けられたのは、読んでくださった皆様のおかげです!
特に、評価、ブックマークをしてくださった方々、本当にありがとございます!
そして、本日より新作の連載を始めます
下記のリンクより移動が可能となっております!
よろしければ、新作も読んでいだだけると嬉しいです!




