411 試験内容の改変が、とんでもなかった!?
この試験、無事終わるのだろうか……。
「じゃあ、改めて説明だ。受験者はギルドから貸し出される木製の武器を使用。道具類は持ち込み自由。魔法も使用可能だ。危険なものを使う場合は事前に申告するように。相手となる金級冒険者は肩、胸、腹、膝に風船をつける。受験者は制限時間内にその風船を一個割ったら合格というのが本来のルールだ。だが、今回は特殊ルールで行う」
「話し合って決めたやつですね」
ギルドマスターの説明に相づちを打つ。
本来のルールでやると、俺が強すぎて難易度が高くなりすぎるため、ルール変更したのだ。
「対戦相手の金級冒険者は攻撃禁止とする。また、指定された円の中でしか移動できないこととする。そして取り付ける風船は十個に変更。重りは特別なものを使用する。以上だ」
変更されたルールの説明を聞き、俺とフローラさんは無言で首肯する。
「使っていい武器はあそこに立てかけてあるやつだ。好きなのを選べ」
ギルドマスターは壁際を指差した。
そこには木製の片手剣や槍なんかが置いてあった。
フローラさんが武器を取りに行くのを確認すると、ギルドマスターはこちらへ振り向き、続きを話し出した。
「金級冒険者のお前には重りを着けてもらう。こいつを腹と手首と足首につけろ」
ギルドマスターが顎で差した先には、ウエイトベスト、リストウエイト、アンクルウエイトがあった。
金属製のそれらは見るからに重そうである。
早速拾って取り付けてみるも、ちょっとしっかりした防寒具くらいの重さしか感じない。
これじゃあ、ハンデにならないな……。
「どうだ、重いか?」
ギルドマスターが重りをつけた俺の様子を窺ってくる。
「いえ、全然。同じ物を何個付けても変わらないと思います」
かなり軽いので、何重に付けても誤差の範囲だ。
「……その重り一つで、人一人分の重さはあるんだが。俺が運んでこなかったのはそのせいだ。そんな物を五個も付けて平然としているお前はおかしい……」
「そうなんですね……。実感が湧かないな」
軽く腕を回してみるも、抵抗を感じない。
「いいか、手加減しろよ。お前が相手をする場合は、それで丁度いいんだからな」
「こちらからは攻撃禁止だし、大丈夫ですよ」
俺は攻撃を防御するか、かわすしかできないんだし、相手が大怪我をする事はないだろう。
むしろこっちはそんな状況で風船を割られないように動かないといけないんだから、中々難易度が高い。
「攻撃を避ける速度も落とせよ」
「分かりましたって」
フローラさんの実力を見るためのテストだし、俺が圧倒しても意味が無いんだよね。
「お前が円の外に出たら、受験者を合格……にしたいところだが、それはできん。仕切り直しだ」
「制限時間はあるんですか?」
「ないが、一時間経ったら止める。そもそも全力で動き回れる時間なんて、たかが知れてるからな」
ルール確認を行っていると、フローラさんが武器を選び終えてこちらへ戻って来た。
「これにします。準備できました」
フローラさんが選んだのは片手剣だった。
普段使っている武器と刃の長さが同じ位だし、いい選択だと思う。
「よし、それじゃあまるもっちーは円の中に入れ。受験者はこっちで構えろ」
全員が定位置につき、準備が整った。
「まるもっちーには手を抜くように言ってあるが、それはフローラちゃんが受験者だからとか、そういうことじゃない。まるもっちーが模擬戦をするなら、誰にでも言う。あいつの動きを見て、普段より遅いと感じるなら、そういうことだと理解してくれ」
「は、はい!」
「一時間経ったら止めるから、そのつもりで行け。それじゃあ、始め!」
ギルドマスターが合図を出し、試験が始まった。
フローラさんが勇ましく剣を構える。
「よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!」
俺もそれっぽい構えをとって、ご挨拶。
「それじゃあ、行きますよ!」
剣を構えたフローラさんはジリジリと円の周りを歩く。
「いつでも来い!」
俺が頷いた瞬間、フローラさんが駆け出す。
「やああああ!」
気合の入った掛け声と共にシンプルながらも速度が乗った突きを繰り出してきた。
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