408 錬金術でとんでもないものを作成!?
最後に指を鳴らせば、錬金術が発動し、完成である。
「網の目結界発生装置、一丁上がりっと」
作り出したのは結界発生装置。
ただし、通常のものではなく、網の目状に隙間がある結界を作る装置だ。
網の目状にしておけば、魚は出入りできるが、大きいモンスターは入れないという寸法である。
これを設置すれば、魔法を使う回数を減らすことができると思う。
この街は森に面した部分には壁があり、海に接する所でなくなる。
今、設置した装置で、壁が海で途切れる部分の両端を繋ぐ形で、結界を発生させることが出来るようにした。
これで壁のない部分を補強し、街全体を囲むことに成功したわけだ。
「そういうわけなんで、確認してもらってもいいですか?」
その後、出来上がった物を確認してもらおうと、ギルドマスターとエラさんを強引に引っ張って来た。
引っ張って来たというか、両脇に抱えて連れ去ってきたとも言う……。
「どういうわけか分からんが、連れて来られた……」
「早業でしたね……」
ギルドマスターとエラさんが困惑した様子で呟く。
ここは口で説明するより、実物が起動しているところを見せた方が早い。
「周囲に人がいないことを確認。スイッチオンっと」
俺は装置を起動させた。
すると、街の両端にある壁の切れ目から結界が発生。
三層の光の網が展開された。
「おお、結界か?」
「網の目状の結界ですね。これはいいかもしれません!」
展開された結界を目にした二人が感想を漏らす。
なかなかの好感触じゃないだろうか。
「今回の一件で、魔法に頼りきりなのはまずいと思ったので、試作してみました」
「いいじゃねえか。燃費はどうだ? 使うとなると、一日中結界を展開する事になるんだよな」
「網の目状になっている分、普通の結界より消耗しないですね。一応直結で人から魔力を注げるようにもしてあります」
本来の結界発生装置はドーム状に街全体を覆う。
しかしこの装置は網の目状、かつ街の一部分を囲うものなので、意外と消耗しない。
といっても、一日中使うとそれなりに魔力を使うので、人から直接魔力を注げる仕組みを搭載しておいた。
こうしておけば、魔石を大量に使わなくても運用できるはず。
「ほほう、使えそうだな……」
ギルドマスターが顎を手で擦りながら呟く。
「船が出る時と戻る時は結界を消さないといけないのが難点ですけどね」
街から出入りする場合は、結界を消す必要がある。
こればっかりはどうしようもなかったんだよね。
「で、いくらなんだ、これは」
「あ、差し上げます。どうぞ」
値段を聞かれ、いらないと答える。
こんな特殊な装置、この街以外で使うことはない。
同じ商売をしている人もいないし、無料であげて迷惑がかかる人もいないだろう。
なら、無理にお金を取る必要は無いな。
「はあ!? この規模の魔道具となると、相当な値段になるはずだぞ!」
むしろ高くなりすぎる気がする。
そんな大金が動いたら、街に負担がかかりそうなんだよな。
「街の安全のために使ってください。ただ、条件があります」
「何だ。言ってみろ」
「この魔道具の素材に関しては調べないで下さい。もし、材料が分かっても、黙っておいて下さい」
下地となった素材がブラックドラゴンなんだよね……。
といっても、その素材を元に別の素材を作り出しているので、絶対分からないと思うけど。
「なんだ……、それは……。怪しいものでも使っているのか?」
「怪しくはないです。ややこしくはありますが……」
「まあ、いいか」
俺の怪しげな説明を聞いたギルドマスターは諦めた表情をしつつも、納得してくれた。
「一応、強度を限界まで上げて、修理や調整はしやすいように設計しました。もし不具合が出て、誰にも対応できなかったらギルドを通じて連絡してください」
「分かった。装置は一旦停止しておいてくれ。全体に説明して、ルールを作ってから運用する」
「了解です。こちらが機関室に入る鍵です」
スペアと合わせて鍵を三個渡しておく。
結界発生装置自体は鍵なしで動くようにしておいたので、それ以外の部分でセキュリティーは強化してもらおう。
そうしないと、俺がいなくなったあとに管理しづらいからね。
「それで、もう一つの条件なんですが」
「まだ何かあるのか?」
「一度だけ、鉄級の昇級試験の相手をさせてください。どうしてもと、お願いされまして……」
「そいつ、正気か!?」
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