400 フローラは立ち向かう 2
街に向けて、とんでもない数のモンスターが押し寄せているのが見えたのだ。
「このままだと、被害が……」
オーロラが破壊され、街は無防備な状態を晒している。
あんな数のモンスターが上陸してきたら一溜りもない。
遠くない未来を想像して硬直していると、歌が再開される。
どうやら舞台から歌っているようだ。
増幅された歌がオーロラとなり、押し寄せるモンスターをせき止めた。
オーロラは先程より強力なもので、モンスターの侵入を阻むだけでなく、後退させることに成功していた。
これなら時間を稼げる。
その間に冒険者がモンスターを倒せば被害が出るのを防げる。
迅速な対応にほっと息をついた次の瞬間、とんでもないことが起きた。
巨大な黒い島のようなものが突進してきて、オーロラを破壊したのだ。
「え……」
あまりの出来事に言葉が出てこない。
あれは一体何なのだ……。
その疑問は、あっさり解消されてしまう。
島と思ったものが浮上し、姿を現したからだ。
それは巨大で真っ黒なタコだった。
あんなものが上陸すれば、街は壊滅してしまう。
そう思ったのはモンスターを倒しに再度海に出た冒険者も同じだったようだ。
船を停め、進むか逃げるか判断できなくなっているようだった。
皆が呆然とタコを見つめる中、声が聞こえた。
それはまるもっちーさんの声だった。
聞こえた声を頼りに姿を探すと、ボートの上でポーズを取る姿が見えた。
声を上げた瞬間、まるもっちーさんの全身が淡く光る。
彼は海に飛び込むと、タコに体当たりをし、押し返し始めたのだ。
「なんて力なの……。あんな巨大なモンスターを……」
まるもっちーさんがタコを押し、じわじわと街から遠ざけていく。
「ああ! モンスターが!」
タコの動きは止まったが、オーロラが破壊されたせいで、モンスターの群れが街に向かい始めた。
次の瞬間、岸のいたるところから大木が生え、花が咲き乱れた。
その花が一瞬で散り、花びらが竜巻となってが海へ向かい、モンスターを倒し始めたのだ。
「何がどうなっているの?」
日常からかけ離れた出来事が連続し、理解が追いつかない。
花びらの嵐は善戦していたが、モンスターの数が多すぎた。
撃ちもらしたモンスターが、じわじわと街へ近づいてくる。
冒険者が乗った船も応戦していたが、モンスターの散り方が広範囲になり、対応が追いついていない。
そんな中、歌が再開されるも、威力が落ちていてうまく機能していなかった。
これではオーロラを展開する事は出来ないだろう。
どうして上手くいっていないのだろうと、ステージに視線をやればステファニーちゃんが一人で歌っていた。
きっとさっきまではミミちゃんと二人で歌っていたはずだ。
それが一人になったから、威力が足りていないのだ。
「フローラ!?」
背後から急に名を呼ばれて振り向けば、リンダさんが驚きの表情で立っていた。
私を見つけたリンダさんはこちらへ駆け寄って来る。
「お願い、ステファニーを助けてあげて! 歌が届かないみたいなのよ!」
立ち尽くして事の成り行きを見ていた私に、リンダさんが切羽詰った表情で迫ってくる。
こちらの様子に気付いたスタッフのジョーンズさんも駆け寄って来た。
「モンスターの数が多すぎて、どうにもならないみたいだ! 頼む、フローラちゃん!」
二人の言葉を聞いた私は、返事をする間も惜しんで駆け出していた。
視界には必死で歌うステファニーちゃんの姿しか映っていない。
何とかして助けないと!
…………
私、ステファニーは、焦っていた。
一人で歌ってもうまくいかず、焦燥が募る。
このままではダメ……。
やっぱり一人だと押し返せない。
歌いながら私はそんなことを考えていた。
二人以上で歌わなければ、オーロラを発生させることはできない。
この状況でいくら歌おうと、モンスターの接近を妨げることは難しかった。
このまま歌い続けても意味が無い。もう歌うのをやめるべきか……。
そう諦めかけた瞬間――
「私も歌うわ」
――隣に先輩が立った。
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