398 ステファニーは一部始終を目撃する 4
「壊れた!? まずい……、これ以上は……!」
カオスオクトパスの勢いは止まらず、俺へ一直線だ。
オーロラがクッションとなって、あまり吹き飛ばされなかったせいで、カオスオクトパスとの距離が近い。
そのせいで、カオスオクトパスは助走距離が短く、体当たりの勢いも弱いものとなった。
こちらは咄嗟に対応できずに吹き飛ばされ、とうとう背後に砂浜が見える地点に到達してしまう。
カオスオクトパスは優位を確信したのか、ゆったりと前進。街との距離を縮めてきた。
複数の足を器用に動かし、こちらへ迫ってくる。
「完全に敵認定されているな……」
そんなカオスオクトパスと俺の間には大規模な水飛沫が上がっていた。
モンスターの群れもこちらへ迫っているためだ。
最悪だ。
このままでは……。
…………
私、ステファニーは、呆然と眼前の光景を見つめていた。
巨大なタコの突進を受け、増幅した魔法が無効化されてしまったのだ。
オーロラが消え、押しとどめていたモンスターが一斉に街へ向かって移動を始めている。
それは巨大な水飛沫となってはっきりと確認できた。
「やべえぞ! モンスターが動き出した!」
機材を操作していたスタッフが声をあげ、場が騒然となる。
「これ以上は危険よ! 二人とも逃げて!」
リンダさんも危険を感じ、私たちに避難を指示してくる。
だけど、このまま避難してしまえばモンスターが街に……。
なんとかしないと……。
「な、なんだ!?」
私が考え込んでいると、スタッフの一人が声を上げる。
顔を上げて、海の方を見れば巨大なタコが遠ざかって行くのが見えた。
なぜあのモンスターが離れていったのかさっぱり分からなかったが、これは好機。
あのモンスターさえ側にいなければ、他のモンスターは魔法である程度防げる!
「まだやれる!」
もう一度歌おうと身構えた瞬間、ミミちゃんが舞台から飛び降り、海に向かって駆け出した。
歌は二人いないと歌えないのにどうして……。
「ミミちゃん!?」
その速度は凄まじく、声をかける間もなかった。
後ろ姿がドンドン小さく遠のいていく。
ミミちゃんは砂浜近くに陣取ると、かわいらしいポーズを取った。
途端、全身が淡い光に包まれる。
次に、両手を前にかざした。
「え……?」
ミミちゃんが両手を前にかざすと、辺り一帯から大量の木が生え出す。
それらの木々が、一瞬で満開となった。
枝に付いた大量の蕾が一気に花開き、色鮮やかな花々が大木を覆い隠す。
「すごい……。綺麗……」
見たこともない花が満開となった並木道が完成し、つい見とれてしまう。
「そうだ、歌わないと……!」
花に見入っている場合ではないと、気持ちを切り替え、歌う。
ミミちゃんがいなくても、とにかく魔法でモンスターを退けなくては。
そう思って歌うも、一人だと威力が弱い。
せいぜい、歌を聴いたモンスターが嫌がって、進む速度が遅くなる程度。
残念ながら、モンスターを押し返すほどの効果は出ていなかった。
ミミちゃんは、なぜか花を咲かせるのに忙しく、こちらに加勢できない。
このままではモンスターが……。
「え?」
歌いながらミミちゃんの方を見ていると、満開の花が強風に煽られたかのように全て散ってしまった。
その花びらが竜巻のようになって、海へと向かい始めたのだ。
花びらの竜巻は、こちらへ迫るモンスターの群れに直撃。
大量のモンスターを一気に倒してしまう。
なにあれ……、すごい……。
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