391 別行動するも、衝撃の事態に!?
「この辺りではなく、もっと遠くから来たんでしょうね。あれだけの数が突然来るなんて初めてだけど」
「モンスターの移動……。もしかして」
俺は魔殿濁の探知機を起動した。
だが、反応はなし。けど、怪しいな。
ここは海沿いにあるとはいえ、陸地。
海に出て使わないと探知に引っかからないのかもしれない。
「苦戦しているみたいね。撤退する船もいるみたい」
ステファニーさんが窓から海を見下ろし呟く。
釣られて俺も海の様子を見る。
すると、沢山の漁船がオーロラの近辺に停まっているのが見えた。
きっと冒険者がモンスターと戦っているのだろう。
だが、水飛沫の勢いが収まっていっているようには見えない。
更に漁船の三分の一程度が港へ引きかえしている。
ステファニーさんの指摘どおり、かなり苦戦を強いられているようだ。
「俺たちも加勢してきます」
これ以上、ここでじっとしているわけにはいかない。
「待って。ミミちゃんにはここに居て欲しい。今のままモンスターが進行を続ければ、歌の効果が切れてしまうわ。その時もう一度歌いなおさないと……。私一人じゃ、あの威力は出せないの」
そうか、魔法をもう一度発動させるには、二人揃っていないと無理なのか。
そうなると、ミミはここに残るしかない。
だけど、俺がここに居ても出来ることはない。
海に行けば、加勢できるけど……。
ミミを一人にするのは心配だけど、ここは別行動をとるか。
「ミミ、俺は海に行ってくる。ミミはステファニーさんと残って歌を歌ってくれる?」
『分かったの! 頑張るね!』
会話の内容を理解したミミが、居残りを決断してくれる。
「ありがとう。じゃあ、俺はちょっと行って来るよ」
俺はかがみ込んでミミの頭を撫でると、海に向かうことを告げた。
『マスター、頑張って!』
「行ってきます!」
俺はミミとステファニーさんに手を振ると、窓から身を乗り出し、壁を蹴った。
反動を使い、一気に浜辺へ飛ぶ。
目測で飛んだが、きっちり砂浜へ辿り着きそうだ。
砂浜へボスンと着地すると、手早く潜水服を着込む。
アイテムボックスからボートを取り出すと、勢いよく飛び乗った。
「さて、行きますか」
俺はオールを力いっぱい漕ぎ、漁船が密集しているエリアを目指した。
オーロラに接近した所で一旦ボートを停め、状況を把握しようと辺りを見回す。
撤退している漁船は全体の三分の一ほど。
残りは未だモンスターと戦闘中だ。
冒険者兼漁師たちが槍のような長い得物で、船上からモンスターを攻撃しているのが見える。
集っているモンスターは弱い個体らしく、冒険者が攻撃すればあっさり絶命していた。
だが、数が多すぎた。多勢に無勢といった感じで、倒しても倒しても次が来る。
冒険者は次第に疲弊し、状況は悪くなっているように見えた。
「漁船を避難させ、モンスターをまとめて攻撃するか」
モンスターはオーロラに阻まれて一定距離以上は進めない。
ならば、漁船を移動させ、無属性魔法で一掃してしまえばいい。
そう考えた俺は、手近な漁船に近づいた。
そしてボートから軽くジャンプ。
その瞬間を狙って空中で漁船を掴み、後方へ放り投げた。
投げ終えると一拍の間もおかずに次の漁船に接近、同じように遠方に投擲する。
それを延々と繰り返し、オーロラの側から全ての漁船を退けてしまう。
少し荒っぽいが、いちいち事情を説明していては時間がかかりすぎる。
「よし、これで準備は整った」
俺は魔力を練り、無属性魔法の発動準備を行う。
そして――
「も ち も ち 波―ッ!」
じっくりと魔力を溜めて無属性魔法を発動。
直線的に進むエネルギー波を腕を振って軌道を変え、横薙ぎの一撃とする。
強烈な光の奔流は、オーロラに群がるモンスターを消し飛ばした。
無属性魔法を放ち終えると、海上にほのかに水蒸気が立ち上る。
魔法の効果は抜群で、モンスターの大半を一掃できた。
海中に向けて放ったので威力が落ちたはずだが、弱い個体しかいなかったのが幸いしたようだ。
「なんだ!? 何が起きた?」
漁船から混乱する冒険者の声が聞こえる。
「何にせよチャンスだ! 攻めろ!」
血気盛んな一部の冒険者が、モンスターの残党を討伐し始めた。
他の冒険者達もそれに続き、掃討戦が始まる。
この調子なら残りの討伐は冒険者に任せておけば沈静化しそうだ。
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