390 緊急事態発生! 衝撃の展開に!?
その後、散策を再開。
お祭りを行っている場所が広範囲に及ぶせいか、遊戯系の店も多種多様なものがあった。
弓のおもちゃを使った射的。お菓子を引くクジ。お守りやお土産を売っているお店と様々だ。
中にはアトラクション系のものも存在し、メリーゴーランドに乗ったり、ミラーハウスに入ったりもした。
『お祭りって楽しいね!』
初めて経験することが多かったせいか、ミミはちょっとした興奮状態になっていた。
手を握っていないと、興味を引いたものに駆けて行きそうな勢いである。
「それはよかった」
ミミが祭りを心から楽しんでくれている姿を見て、俺も大満足。
この街へ来てよかったな。
その後、前日同様食べ物の出店を何件か回り、最後は特設ステージへ。
今日の演目は、サーカスのような軽業ショーだった。
玉乗り、ジャグリング、綱渡り、空中ブランコなどが披露された。
前の世界でもサーカスなんて一度も見たことが無かった俺にとっては、生で見るショーはどれも新鮮なものだった。
それはミミも同じようで、帰り道の間ずっとサーカスのことを話していた。
…………
そして、三日目。
「今日でお祭りも最後か。あっという間だったなぁ。今日は夕方までどうしよう」
月の雫亭の食堂でゆっくりとお茶を飲みながら、今日の予定を考える。
お祭りも最終日だし、今日くらいは何もしないでおくか。
この際、昼寝でもしてダラダラ過ごそう。
などと、何をして時間を潰そうか考えていると、宿の扉が凄まじい勢いで開けられた。
何事だと、視線を向ければ灯台の管理人さんが血相を変えて駆け込んで来ていた。
「まるもっちー君は居るか!」
「どうしたんですか?」
こんなところまで来て、仕事は大丈夫なんだろうか。
えらく切羽詰った表情をしているように見えるけど……。
「モンスターが大量に押し寄せているんだ! ミミちゃんを連れて灯台へ来てくれ!」
管理人さんがそう早口でまくし立てた。
灯台へ向かえってことは、歌でモンスターを近づかせないようにするのか。
「分かりました! 行くよ、ミミ!」
『うん!』
俺はミミを頭上に乗せると、慌てて灯台へ駆け出した。
…………
灯台の入り口に着くと、扉が開けた状態で固定してあった。
俺は迷わず、灯台の中へ。
普段ならエレベーターを使うところだが、階段を上った方が早い。
俺は一気に階段を駆け上がり、歌唱台がある部屋へ辿り着いた。
そこにはマイクを持ったステファニーさんが待っていた。
「歌をお願い! 二人同時に歌うの!」
ステファニーさんがこちらに向かってマイクを投げた。
マイクをキャッチした俺は素早くミミに手渡す。
「ミミ!」
『任せて!』
マイクを受け取ったミミが強く頷く。
ミミが部屋の中央へ駆けると、ステファニーさんが横に付く。
直後、二人が歌い出す。
二人の歌が装置で増幅され、極彩色のオーロラとなって街全体に展開された。
まるでカーテンを閉めたかのように、街全体がオーロラに包まれていく。
「おお!」
俺は驚きの声を上げつつ、事の成り行きを見守った。
窓から外を見れば、海上に展開されたオーロラが津波のように押し寄せる水飛沫を食い止めている。
あの水飛沫の正体がモンスターなのだろう。
となると、凄まじい数のモンスターが街に迫っていることになる。
しかし、モンスターは俺が倒して回ったはず。
……なぜ、こんなことに。
歌を歌い終えた後もオーロラが消えることはなく、障壁の役割を果たしているようだった。
海のモンスターには陸上で活動出来る個体もいるが、今の状態なら街に侵入することはできない。
これでひとまずは安心、といったところか。
「ふう……、なんとかなったみたいね……。後は冒険者が討伐してくれるはず」
ステファニーさんが安堵の息をつく。
「周囲のモンスターは倒したはずなのに……、なんで急に」
ギルドマスターからの依頼を受け、海のモンスターは俺が入念に倒して回った。
多少遠方から流れてくることはあっても、あんなに一度に大量のモンスターが来ることは予想できなかった。
もっと範囲を広げて倒しておくべきだったか……。
「この辺りではなく、もっと遠くから来たんでしょうね。あれだけの数が突然来るなんて初めてだけど」
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