39 オレリア宅でとんでもない出迎えが!?
適性があれば、鮮明にイメージすれば発動してくれるはずだ。
自分と同じ属性の人に巡り会って魔法を見せてもらえば、案外なんとかなるかもしれない。
まあ、多種の魔法を使える人が専門の学校にしかいないってオチになりそうな気もするけど……。
「ありがとうございました。属性魔法が使えないってこともあるんですか?」
「自分に適した属性が一つはあるはずよ。全く使えないってことはないと思う」
「俺の属性、何だろう……」
火属性だったら話は簡単なのだが、どうだろう。
「魔法も使わずにラッシュボアの群れを秒殺する君に、属性魔法が絶対必要とは思えないけどね」
「そういうものですかね」
オレリアさんに属性魔法なんて不用と言われてしまう。
でも、魔法使うことに憧れを感じる俺は、微妙に諦めがつかない。
せっかく魔力の能力値が高いのに、使える魔法が二つだけでは、宝の持ち腐れのような気がする。
「そういうものよ! それよりお腹が減ったわ。家に帰ってご飯にしましょ」
が、キレ気味に一蹴されてしまう。
一応、魔法の練習を終えた俺たちは村へと戻り、オレリアさんの家にお邪魔することとなった。
その途中、村の人たちが待っていて、全員からお礼を言われてしまう。
ちょっと照れくさかったが、ラッシュボアが村の修復の役に立つのなら良かった。
村の皆さんと別れた後、オレリアさんの家へと招待された。
「よく来たね。ゆっくりしていきなさい」
「わふっ」
玄関では村長と白い大型犬が出迎えてくれる。
「お世話になります。大きな犬ですね」
「シロっていうのよ。仲良くしてあげてね」
オレリアさんがシロの頭を撫でながら、紹介してくれる。
それを見ていたミミがシロへと近寄っていく。
『ミミも撫でていいですか?』
と、シロに尋ねた。
するとシロはミミの言葉を理解したのか、床に伏せ「わふっ」と、ひと鳴き。
これは「いいよ」と言ってるのかな。
ミミは恐る恐るといった感じで背を撫でる。
『わぁ! フワフワですね!』
「わふっ!」
「あら、仲良くなれたみたいね」
ミミとシロを見守っていたオレリアさんがニッコリ笑う。
それを合図にシロは立ち上がり、奥へ向かって歩き出した。
しばらく進んでミミの方へ振り返り、ひと鳴き。
「案内しようとしてくれてるのかな」
なんか「ついて来いよ」って言ってるような雰囲気を感じる。
『マスター、行ってきていい?』
「いいよ、部屋のものを壊さないように気をつけてね」
『はーい!』
ミミは大喜びでシロの後を追って行った。
俺は村長とオレリアさんに客室へ案内されてお茶タイム。
一息入れた後、夕食をご馳走になった。
メニューはラッシュボアの肉とキノコと山菜の鍋。
鍋のスープはラッシュボアの骨で出汁を取ってあり、コクがあって癖になる味だった。
ミミと二人、ふーふーしながら熱々の鍋を堪能。旨し。
食事を終えると、問答無用で風呂へ。最後は客間に通され、就寝となった。
俺はベッドに横になると、今の自分の状態を確認するため、鑑定スキルを使った。
覚えた魔法はちゃんと表示されているだろうか。
【名 前】 まるもっちー
【種 族】 餅人
【レベル】 99(MAX)
【膂 力】 101204 (+100000)
【魔 力】 100998 (+100000)
【体 力】 101172 (+100000)
【クラス】 精霊使い
【称 号】 転移失敗者 悪竜殺し
【固有スキル】
鑑定 自動翻訳 特殊アイテムボックス
餅 癒やし効果
【スキル】
使役精霊(草木の精霊)
名乗魔法 生活魔法
「こんな感じになるんだな」
新しく覚えた魔法が載っていることを確認し、満足する。
スキルが増えていくのは、ちょっと嬉しい。収集欲が満たされる感じだ。
『マスター、マスター』
自分を鑑定していると、ミミがヒソヒソ声で話しかけてくる。
「どうしたの?」
わざわざ声をひそめなくても誰も聞いていないのに、とは思うものの、かわいいので問題ない。
『ミミね、最近強くなったみたいなの』
「そうなんだ。やったな! ミミが強くなって俺も嬉しいよ」
俺も合わせて、ヒソヒソ声で返す。ミミ曰く、強くなったらしい。
『これでマスターと一緒に戦えるよ!』
「おお、頼もしいなぁ。どれくらい強くなったか知りたいから、ミミのことを鑑定してみてもいい?」
『いいよ!』
快諾を頂いたので、早速鑑定してみる。
【名 前】 ミミ
【種 族】 草木の精霊
【レベル】 17
【膂 力】 82
【魔 力】 268
【体 力】 167
【クラス】 精霊
【称 号】 なし
【固有スキル】
草木の精霊術
【スキル】
名乗魔法 生活魔法
「確かにレベルが上がってるな」
『んふー♪ 強くね、なったんだよ!』
ミミが鼻息荒く、得意顔になる。
しかし、レベルが上がるような出来事なんてあったかな。
ミミはモンスターを倒したことがない。
それなのに、まるで高ランクのモンスターを大量に倒したかのような急成長ぶりだ。
……もしかして、俺がモンスターを倒しても、レベルが上がるのだろうか。
この世界では仲間として戦闘に参加していれば、経験を積めるのかもしれない。
もしくは使役精霊っていうくらいだし、二人の間で何かが繋がっているのかも。
どちらにせよ、これは朗報だ。
ミミを危ない目にあわせなくても、ドンドン強くできる。
ケガしないくらいに成長してくれれば、俺としても安心だ。
「頼りにしてるよ」
『任せて、マスター!』
横になったままタッチし、笑い合う。
ミミは強くなったことが嬉しかったのか、興奮して中々寝付けないようだった。
『強くなったから、マスターを守るんだよ!』と力説するので、うんうん、と頷く。
ミミの肩をポンポンと叩きながら、話を聞く。
しばらくすると、話し疲れてしまったのか、声音が小さくなっていき、そのまま眠ってしまった。
俺は、『強くなったんだよ……』と寝言を呟くミミにタオルケットをかけると、隣で眠りに付いた。




