388 祭り当日。とんでもないお店があった!?
手伝いを終えた帰り道、周囲の風景が一変していた。
俺たちが整地したエリアに出店が建ち並び始めていたのだ。
「おお、出来てきてるな」
結局、この辺りのエリアの手伝いはしていないが、よかったのかな。
『もう食べれる?』
「まだだね。お祭りの日まで待とうね」
店が出来たことを知ったミミが、待ちきれないといった感じで聞いてくる。
相変わらずの食いしん坊さんぶりである。
「お祭りの日は、ここで食事にしようね」
『やったー! ミミね、全部のお店を回りたいな』
「祭りは三日あるから、大丈夫だよ」
開催期間は三日。
お店の量はかなりのものだが、三日かければ全て回れると思う。
折角だし、ここでしか食べられないものを食べさせてあげられるといいな。
『楽しみなの! いっぱい食べたいなぁ』
祭りの日を想像したのか、ミミのルンルン気分に拍車がかかる。
気分が昂揚したせいか、繋いだ手を振る速度が心なしが増していた。
…………
それから日は流れ、今日は待ちに待った祭り当日。
今日から三日間の開催となる。
花火と歌は最終日に公開。一日目と二日目は何か別の催しをステージでやるらしい。
聞けば詳しく教えてもらえただろうが、そこはあえて聞かなかった。
当日の楽しみにする予定だ。
といっても、初日は夕方から始まるので少し時間がある。
それまでは料理の作りおきをして過ごし、祭りの開催に備えた。
夕方まで時間を潰した俺たちは、出店が建ち並ぶエリアにやってきた。
辺りは綺麗に飾り付けられ、華やかな雰囲気が演出されている。
どこもお客が溢れ、なんとも賑やかな感じだ。
「それじゃあ、出店を見て回ろうか」
『んふー♪ いっぱいあるね』
ミミと手をつなぎ、人込みの中を歩く。
楽しそうに騒ぐ人の声。駆け抜けていく子供達。
軽快な音楽。どこからともなく漂ってくる旨そうな匂い。
どこを切り取っても、祭りという雰囲気がする。
「三日あるし、ゆっくり回ろうね。ミミはどこから行きたい?」
『う〜ん……。マスター、あれはなあに?』
ミミが指差した先では、店主が綿菓子を作っていた。
魔道具に棒を差し入れて回し、噴き出してくる綿飴を絡めとっているのが見える。
初めて見たら、食べ物を作っているとは思えない光景だし、疑問に感じたのだろう。
「お、綿菓子か。祭りっぽくていいな。じゃあ、行ってみよう」
『はーい!』
祭りの一発目としては中々いい選択と判断し、出店へ近づく。
すると、店主がこちらの接近に気付いて顔を上げた。
「いらっしゃい! お、あんたかよ」
そう言って声をかけてきたのは、船を修理した漁師の一人だった。
どうやら今日は綿菓子の出店をやっているようだ。
「どうもこんにちは。お店をやっているんで、びっくりしましたよ」
準備は手伝っても、店を出しているとは思っていなかっただけに驚きだ。
「冒険者でも祭りの間は店を出してる奴が結構いるんだぜ、俺みたいにな」
「それなら知っている人にも会いそうだな」
漁港で顔見知りも増えたし、また遭遇しそうだ。
「そうなるだろうな。で、何の用だ」
冒険者の店主はそう言いながら、後ろの方を気にしだす。
釣られて背後を見れば、人が立っていることに気付く。
どうやら軽く話している間に、俺たちの後ろに客が並び出してしまったようだ。
これは早く注文した方がいいな。
「おっと……、綿菓子を二つください」
「あいよ」
店主は綿菓子を手早く仕上げると、こちらに渡してくれた。
「ありがとうございます。いくらですか?」
「いらねえよ。船を直してもらったお礼だ」
「なんか、すみません」
ここでお金の支払いで揉めていると、後ろに並んでいるお客さんを待たせてしまう。
そう思った俺は綿菓子を素直に受け取った。
「お前が謝ることじゃねえよ。ほら、次のお客さんが待ってるから行った行った」
「綿菓子ありがとうございました。それじゃあ、失礼します」
「おう、楽しんでこいよ」
俺は店主にお礼を言うと、出店を離れた。
「無料になってしまったか……。はい、どうぞ。食べてみて」
人通りが少ないところまで移動し、綿菓子をミミに渡す。
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