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384 宿に帰ると、とんでもないことが!?

 

 どんなことを手伝えばいいのだろうか。



「そう、機材チェックのときに実際に歌ってもらえると助かるのよ。ステファニーばかりに歌わせると負担になっちゃうからね」


 なるほど、ステファニーさんの負担を減らすのが目的か。


 ミミがOKするなら受けてもいいかもしれないな。


「ミミ、どう? 歌のお手伝いなんだけど、やってみる?」


『やってみる!』


 ミミがワクワクした表情で頷いた。


「やってみたいそうです」


 俺はリンダさんにミミの意向を伝えた。


「そう! 助かるわ。それなら明日からお願いできるかしら」


「はい。といっても俺たちも祭りの準備を手伝うので、ずっとここにはいられないですけど」


 話が進み、明日から手伝いに参加する事になった。


 とはいえ、一日中手伝えると思われるとまずい


 だから、ギルドマスターから頼まれた準備の依頼もあることを伝えておく。


「それじゃあ……、夕方に来てもらってもいいかしら。先に練習を済ませて、貴方たちが来たら翌日の調整をしていくわ」


「分かりました。明日からよろしくお願いします」


「こちらこそ、よろしくね。待ってるわ」


「それじゃあ、今日はこれで失礼します。戻ろうか」


『はーい!』


 リンダさんと明日以降の約束をした俺は、依頼完了の報告を行うため、ギルドへと向かった。


 …………


「もしかして。もう終わったんですか?」


 受付に着くと、エラさんが少し驚いた様子で出迎えてくれる。


「はい。手続きをお願いします」


「予想はしていましたけど、さすがですね」


「またしばらく手伝いの依頼がなくなる感じですか?」


 今回の依頼も半日で終わっちゃったし、そうなりそうな気がした。


「……明日まで待ってください。何か、何か探しておきます!」


 エラさんが追い詰められた表情で声を上げる。


「いや、無ければ無いで構わないんですけど……」


 こっちは困らないし、そこまで必死にならなくてもいいんだけどな。


「それはそれで勿体無いんですよ! まるもっちーさんを利用しない手はないんで」


 エラさんはそう言うと、分厚い台帳のようなものを取り出し、ああでもないこうでもないとブツブツ呟きながら依頼探しを始めた。


 これは退散した方がよさそうだな。


 明日の朝出なおして、依頼の確認をするか。


 …………


 今日の用事を終え、月の雫亭へ帰る。


 宿に近づくと、テリーさんの声が外まで聞こえてきた。


 まさか、またケンカでもしているのだろうか、と恐る恐る扉を開ける。


 すると、椅子に腰掛けたフローラさんの足に包帯を巻いているテリーさんの姿が見えた。


「無茶するからだぞ!」


「ちょっと油断しただけだから……」


 どうやら、怪我をしたフローラさんの治療を行っているようだ。


「何やってるんだよ……。強くなったんじゃなかったのかよ」


「ごめん、いいところを見せようと思って、張り切りすぎちゃった」


 しょんぼりとした表情で俯くフローラさん。


 一体何事だろう。


「どうしたんですか?」


 様子が気になった俺は、二人に声をかけた。


「おう、まるもっちーさんか。姉貴が森で怪我しちまったんだよ」


「依頼のモンスターを倒したんですが、ちょっと失敗しちゃいました」


 どうやらフローラさんは、討伐依頼をしたみたいだ。


 だが、森のモンスターは以前俺たちとフローラさんで限界まで数を減らした。


 街の周辺でモンスターと遭遇するのはかなり難しい。


 そのため、普段訪れない場所に行ってしまい、危険な状況に陥ったらしい。


 強くなったと過信した結果、起きてしまった事故のようだった。


「これを食べてください。傷の治りを早くする甘味です」


 俺は癒やし効果スキルを注ぎこんだ月見団子を差し出す。


 これを食べておけば相当酷い怪我でもない限り、大丈夫だろう。


「それは……!」


 月見団子を見たテリーさんが驚きの表情で固まる。





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