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383 依頼完了。まさかの勧誘を受けてしまう!?

 

 会話の流れから、新しく歌を歌っているのが俺と勘違いしたみたいだ。



「いえ、この子です。歌が上手いんですよ」


 と、ミミの方を見る。


「へえ、この子が歌ってたんだ。上手いのは朝聞いてるから知ってるわよ」


『えへへ……』


 歌がうまいと褒められ、照れくさそうに俺の足に抱きつくミミ。


「じゃあ、どの順番で運んで欲しいか説明していくわね」


「お願いします」


 というわけで運ぶ機材の説明を受ける事になった。


「……といった感じね。運ぶ物は今説明したので全てよ。私はここで打ち合わせをしているから、何かあったらいつでも言って」


 リンダさんは俺たちに軽く手を振ると、スタッフ達の下へ駆けていった。


「それじゃあ、運んで行きますか」


 俺はそそくさと運ぶ荷物を全てアイテムボックスへとしまった。


 その後、劇場を出てステージへと向かい、機材類を設置。


 何往復もせずに全ての設置を終えることができるは大きいな。


「ふう、終わった〜」


『そーっと置かないといけないから難しかったね』


「そうだね。精密機器が多いから、ちょっと気を使ったな」


 衝撃に弱そうなものが多数あったので、取り扱いは慎重に行った。


『これでここで歌えるの?』


「みたいだね。ここでステファニーさんがお祭りの時に歌うみたいだよ」


 と、ミミに説明する。


 特設ステージはかなりの大きさがあり、後方の席からは舞台に立つ人の顔が見えない。


 ここが満席になるというのだから、人気振りが窺える。


『早く聞いてみたいね!』


「そうだね〜。いつもと違って演出も入るから、綺麗な舞台になるだろうな」


『楽しみなの!』


 ミミと二人、本番の光景を想像してニッコリ。


 きっと盛り上がるんだろうな。


「え……、出来てる」


 出来上がったステージを眺めながらお祭り当日のことを想像していると、背後にリンダさんが来ていた。


 様子を見に来たのかな。


「あ、丁度今終わったところです」


 と、報告する。


 グッドタイミングだな。


「は、早いわね。作業を見に来たのに、やることがなくなったわ」


「機材の設置場所はこれで大丈夫ですか? 微調整しますけど」


 機材は持ち出した劇場の配置を参考にして置いただけだ。


「もともと微調整はこちらでやる予定だったから問題ないわ。細かい調整は、実際に使いながらじゃないと出来ないからね」


「それなら、これで依頼完了という事で大丈夫でしょうか?」


「ええ、助かったわ。はい、書類。ご苦労様」


 どうやらこれで依頼完了らしい。


 リンダさんからサインの入った書類を受け取り、労いの言葉を受ける。


「依頼は終わりましたけど、何か手伝えることはありますか? 意外と早く終わってしまったし、俺に出来ることがあれば、お手伝いさせてください」


 俺の言葉を聞き、リンダさんが腕組みして考え込む。


「そうねえ……。それじゃあ、君にお祭りで歌って欲しいかしら」


 と、ミミを指差して言った。


『ミミ?』


 今一つ話の内容が分かっていないのか、ミミが首を傾げる。


「そう、貴方よ。どうかしら?」


「あ〜、ミミは今回が初めてのお祭りなんです。だから、できれば一般客として参加したいんですよ。花火を見るのをとても楽しみにしていたので」


 俺はリンダさんの誘いをやんわりと断った。


 もしステージで歌うことになれば、これから練習に参加し、本番まで拘束されることになる。


 そして祭り当日も、ステージから離れることができなくなってしまうだろう。


 それでは祭りを楽しむことが出来ない。


 祭りのメインイベントの一つへのお誘いということは、とても名誉なことだと思うが、今回はパスさせてもらいたいんだよね。


「そっかぁ。それなら仕方ないわね」


「折角誘っていただいたのに、すみません」


「いえ、いいのよ。それじゃあ、リハーサルを手伝ってもらえない?」


「リハーサルですか?」


 どんなことを手伝えばいいのだろうか。





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