373 新たな依頼。まさかの事態に!?
「魚があまり獲れなかったってことですか?」
不漁ということなのかな。
そのせいで何とか魚を獲ろうとやっきになって、他の依頼を受ける割合が減った、という感じだろうか。
「そうなんですよ。それに追い打ちをかけるように、例年に比べて船の故障が多かったせいで、大きな影響が出た感じです」
「故障ですか」
それまた珍しい話だ。
偶然が重なったのだろうか。
「私も詳しくは知らないですが、そうらしいですよ?」
「なるほど。すみません、話が逸れてしまいましたね。依頼の内容を詳しく教えてください」
「この街の花火はちょっと特殊で、色付けに海のモンスターの素材を利用するんです。その不足している素材の調達をお願いします」
「対象のモンスターは何ですか?」
街の近辺のモンスターはほぼ一掃したし、もう素材を持っているかもしれないな。
「ジャイアントターバンシェル、レッドシャーク、ジャイアントスターフィッシュ、ポインズンシースネークですね。外見はこんな感じになります。それと、こちらが必要素材の数量になります」
イラストを見せて説明してもらったが、見たことがない個体が何体かいる。
残念ながら、現状で全て揃うということはなかった。
最後に必要な素材と数量が記された書類を貰う。
これに書かれたものを持ってくれば、依頼達成ということか。
うまく揃えばいいけどな。
「了解です。どの辺りに生息しているか分かりますか」
今回はモンスターならなんでもいいというわけじゃないので、生息場所を探るのが鍵になってくる。
俺がモンスターを倒しまくった際に、接触していないということは、もっと遠方か特殊な場所に生息している可能性が高い。
エラさんが知っていると助かるんだけどな。
「う〜ん、大体この辺りでしょうか……。日によってかなりのズレが生じるので、断言できないですね。漁港に行って聞いた方が確実な情報が得られると思います」
エラさんが地図を出して説明してくれるも、確証はないとのこと。
指し示してくれた位置は少し遠方となっており、俺が倒して回ったエリアから外れていた。
この際、その辺りのモンスターもついでに一掃してしまうのも手かもしれない。
とりあえず、漁港で詳しい人を探して聞いてみるか。
「分かりました。早速行ってみます」
「はい。頑張ってください!」
エラさんに見送られ、俺たちは漁港へと向かった。
…………
船着場へ着くも、辺りは閑散としていた。
漁に向かう漁船は早朝に出てしまったせいか、人もまばらだ。
誰かいないかと歩き回り、たまたま通りがかった人に声をかける。
「すみません、モンスターのことを聞きたいのですが」
「なんだ、アンタ。あれ、どこかで…………?」
普段、漁港で見かけない俺に不振感を抱いたのか、疑いの視線を向けられてしまう。
男は、じっと俺のこと見つめ続けた後、急に大声を上げた。
「思い出した! この間、魔走車レースを観た時だ! アンタをレースで見たぜ。すげえ速さで走ってたよな」
と、言いながらバンバン背を叩いてくる。
俺だから痛くないけど、普通の人なら吹っ飛ぶ勢いだぞ。
「ああ〜。あの時は冒険者の依頼で裏方として参加していたんですよ」
「知ってるぜ。だけど、レースに参加している魔走車より、よっぽど目立っていたけどな?」
「あはは……」
レース用の車に併走すれば目立ちもするか……。
「で、ここに何か用かい?」
「実は花火の素材調達の依頼を受けたんですが、モンスターがどの辺りにいるか知りたくて」
こちらの説明を聞くと、男はぱっと顔を明るくした。
「おお! その依頼を受けてくれたのか! 助かるぜ! 今年は手が回らなくて困ってたんだ」
「今年は船の故障が多かったらしいですね」
ギルドで聞いた話を思い出し、つい言葉に出してしまう。
「そうなんだよ……、参ったぜ。だから、あそこの連中には気軽に声をかけるなよ」
そう言って男が指差した先には、数人の男がたむろしていた。
男たちは何をするというわけでもなく、壁にもたれかかってじっとしている。
「あの人達が何か?」
「船が修理中で海に出られない奴らだよ。みんな気が立ってるから気をつけろよ。アンタ、一番初めに俺に話しかけて、運が良かったな」
「はい、そこまで考えていなかったです」
たまたま初めに会った人だったから、声をかけただけだったが、ラッキーだったみたいだ。
「俺はここの管理をやってるブライアンだ。分からないことがあったら、いつでも聞いてくれ」
「まるもっちーと言います。こっちは従魔のミミです」
と、ブライアンさんに自己紹介する。
「今は祭りが近いから、書き入れ時なんだよ。それなのにお預け食らって、じっと待機しなきゃならねえんだから、荒れるのも仕方ねえけどな」
ブライアンさんが男たちに同情的な視線を送りつつ、呟く。
「それは辛いですね……」
船が壊れて身動きが取れない。
イライラして他の依頼をする気にもなれないのだろう。
「まあ、あいつらも悪いんだけどな」
「そうなんですか?」
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