371 歌った結果、とんでもない事態に!?
ミミの歌を聴き、腕組みをしたステファニーさんは満足げに頷く。
ほどなくして、ミミが一曲を歌い終える。
音程を間違えることなく歌いきった見事な歌唱であった。
「最後まで歌えたね」
『えへへ……』
俺が近づくと、ミミはマイクを両手に持ったままもじもじしていた。
自分の歌が街中に響いたから、ちょっと照れくさかったのかもしれない。
「う〜ん……、魔法の威力が高い気がする。もしかして、私より魔力が高い?」
俺たちが和んでいるとステファニーさんが近づいてきて、浄化魔法の威力について聞いてきた。
「従魔なので、それなりには」
はっきり答えるか迷い、言葉を濁して誤魔化す。
滅茶苦茶魔力が高いです、とは言わない方がいいだろう。
「さすが冒険者ね……」
俺の言葉に察したような表情で頷く。
今歌ったのは浄化魔法だったが、モンスター避けの魔法はどうするんだろう。
これから練習するのかな?
今後の予定について尋ねようとした瞬間、エレベーターの扉が開き、管理人さんが慌てた様子で部屋に入ってきた。
「い、今の歌は誰が歌ったんだい!?」
「この子よ。凄いでしょ?」
管理人さんの質問に、ステファニーさんが自分のことのように得意気に答える。
「あ、ああ……。びっくりしたよ。凄まじい威力だ……」
「そうなの?」
「音に色が付いて、波のように周囲に広がっていくのが見えたよ。こんなことは初めてだ」
「そんなに……」
管理人さんの話を聞き、言葉を詰まらせるステファニーさん。
まさか音に色が付いていたとは。驚きの結果である。
ここからでは見えなかったが、オーロラみたいな感じになったのかな。
「なあ君、ずっとここで歌ってくれないか!?」
と、管理人さんがミミにすがりつく。
ミミは突然のことに驚いているようだった。
「すみません。俺たち祭りが終わったら街を出る予定なんです」
俺はすかさず事情を説明し、誘いを断っておく。
こういったことは早めに言っておかないと、誤解を生みそうだしね。
「そうか……、残念だよ。やっと新しい歌い手を確保できると思ったんだが」
「こればっかりは仕方ないね」
管理人さんとステファニーさんが目を合わせ、残念そうに頷き合う。
「光属性の使い手は中々いないからなあ……」
「探し出すのも一苦労なんですね」
管理人さんの呟きに相づちを打つ。
探そうと思っても簡単には見つからない、というわけか。
「そうなんだ、かといって一人に頼りきりになると負担が大きい。だから、なるべく早く新しい歌い手を探したいんだ」
「大丈夫だって。もうすぐ先輩が帰って来るから」
「いや、あの子は……」
「絶対帰って来るから。――絶対にね」
「あの、先輩って?」
光属性の魔法、先輩と後輩、そういった言葉から予想すると、この人たちが言っている人物というのは……きっと。
「ああ、ごめんごめん! まあ、それは置いておいて、明日の朝から来れる?」
事情を聞こうと思ったが、かわされてしまう。
まあ、話したくないことなら、無理に聞き出すべきではないか。
「明日の朝から練習する感じですか?」
「あ、そうだった! 魔法を練習しないと……」
ステファニーさんが腕組みして考え込む。
数秒黙考した後、何か閃いたかのような顔になる。
「今からやろっか!」
「まあ、時間はあるので大丈夫ですけど」
唐突に話が決まっていくなぁ。
ミミもやってみたいそうだし、そこは問題ないだろう。
「よし、決定! それじゃあ、やっていこう!」
というわけで、急遽、魔法の練習が始まった。
練習はそのまま日が暮れるまで続くことになってしまう。
といっても、実際に歌ったのは数度。
今回は魔法についての説明が多かった。
教師となったステファニーさんにミミが教わり、浄化魔法とは違う発声と魔力の乗せ方を教わっていった。
「じゃあ、今日はここまでにしよっか。後は明日の歌が終わった後にやろう。この調子ならすぐ使えそうだね」
「おお、そうなんですね」
「うん、ミミちゃんは凄いよ。私なんかすっごい時間がかかったのに……」
「ただ、練習に参加できるのは午前中だけになると思います。俺たちも依頼をこなさないといけないので」
「そっか、了解だよ。じゃあ、明日の朝またここで」
ということで、今日は解散となった。
…………
翌日、朝の歌が流れる三十分前に、灯台へ向かう。
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