370 ステファニーさんに連れられ、とんでもない場所に到着!?
この人も大変みたいだし、手伝ってあげるのも悪くない。
後は、ミミがやりたいかどうかだな。
「ミミ、この人が朝歌って欲しいそうなんだけど、やってみる?」
『やってみたいの!』
ミミに確認すると、強いやる気を示した。
最近浄化魔法を覚えたばかりで、歌うことが楽しくて仕方ないのかもしれないな。
「やってみたいそうです」
そわそわした表情で俺たちの会話を見守っていた女性に、ミミがOKを出したことを伝える。
「ほんと!? ありがとう! 私はステファニー、よろしくね」
女性はミミの手を握り、感謝の気持ちを伝えた。
名前はステファニーさんと言うのか。
『ミミなの! お歌、頑張るね』
ニッコリ笑顔のミミ。
「よろしくお願いします。俺はまるもっちー。こっちはミミです」
と、会釈する。
「まるもっちーとミミちゃんね、覚えたわ。それじゃあ、案内するから付いてきて」
ステファニーさんはそのままミミの手を引き、移動を始める。
俺は「どこに行くんですか?」と聞きつつ、慌てて後を追った。
…………
ステファニーさんに連れられるまま後を追うと、丘の上にある大きな建物に到着した。
「灯台?」
ぱっと見た感じ、そんな印象を受けた。
塔のような建物で、てっぺんには明かりを灯す巨大な魔道具が取り付けられている。
「灯台でもあるね。ここには歌唱台があるの」
「それはなんですか?」
歌唱台。初めて聞く名前だ。
「ん〜、歌で発動する魔法を増幅させる装置なんだけど、マイクとスピーカーをイメージすれば分かり易いかな」
「なるほど、遠くまで歌を届かせるんですね」
「そういうこと。朝、街のどこにいても歌が聞こえるでしょ?」
「こういう仕組みだったのか」
毎朝何気なく聞いていた歌は、ここから流れていたというわけか。
物珍しげに灯台を眺めていると、ステファニーさんはミミの手を引いたままズンズンと中に入っていく。
「お、どうしたんだい? 忘れ物かな」
入り口にいる管理人らしき人が声をかけてきた。
彼女とは顔見知りといった雰囲気がある。
「こんにちは、ちょっと中に入るね」
「あいよ。昼に来るなんて珍しいね」
「付いてきて。こっち、こっち」
「お邪魔します」
管理人らしき人に挨拶し、ステファニーさんの後を追って灯台の中に入る。
中にはエレベーターがあり、それで一気に最上階へ。
最上階は三百六十度がガラス張りとなっており、素晴らしい眺望となっていた。
「どう、いい眺めでしょ?」
「おお、街が一望できますね」
『高いの!』
ミミと一緒に窓を伝ってぐるりと一周。
こういう場所に来ると、なぜかテンションが上がるよな。
俺たちが見物を終えるタイミングで、ステファニーさんが部屋の中央にある装置をポンポンと叩いてみせた。
「で、これが歌唱台。このスイッチを入れて、マイクに向かって歌えば、灯台に付けられたスピーカーから歌が流れる仕組みよ」
「へぇ〜」
説明を聞く限り、操作や仕組みは元の世界の音響装置と似ているイメージだ。
「じゃあ、試しに歌ってみて」
そう言ってマイクをミミに差し出す。
ミミはやる気に満ちた表情でマイクを受け取った。
「ミミ、頑張って!」
『うん!』
俺が応援すると、ミミがニッコリ笑う。
見た感じ緊張はしてなさそうだ。
これはいい感じで歌えるかも。
「ハーモニカを吹こうか?」
俺の問いに、ミミがコクコクと頷く。
リクエストに応え、ハーモニカを吹く。
するとそれに合わせてミミも歌い始めた。
歌声には魔力が乗り、浄化魔法として機能していることが分かる。
マイクを通した歌声は、建物の外部に取り付けられた装置から街中に響き渡った。
「私の目に狂いは無かった……。完璧だわ」
ミミの歌を聴き、腕組みをしたステファニーさんは満足げに頷く。
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