37 新たな魔法を習得。それは……!
名乗魔法の感じを掴むため、反復横とびを続けていると、オレリアさんが探るような視線を向けてくる。
「そういえば、君って私を抱えたまま村まで走った時、凄く速かったわよね。あの時、魔法なんて使っていなかったのよね?」
「今、初めて使いました」
「…………」
俺の返答を聞いたオレリアさんは、こめかみを押さえて黙り込んだ。
彼女はこの状態になると、しばらく帰って来ない。
暇だなあと思いつつ帰還を待っていると、くいくいと服が引っ張られる。
視線を落とせば、ミミがワクワクした表情で俺を見上げていた。
『ねえ、ミミもやってみていい?』
「おお、チャレンジャーだな。いいよ、やってみな」
俺の了承を得たミミは『わーい!』と大喜び。
『見ててね?』と構えをとり、発動姿勢に入る。
うん、見ているこっちがドキドキしてくるな。頑張れ〜!
『マスター大好き、ミミ!』
ミミがポーズを決めて叫ぶと同時に、俺と同様のオーラの様な炎が全身を包む。
大成功であった。
上手くできたのが嬉しかったのか、ミミも反復横飛びを始めた。
負けてられないと、俺も反復横飛び。
二人して、シュンシュンッと空を切る音を出しながらステップ。
やばい、ちょっと楽しくなってきたぞ。
「ッ!? 何で従魔が発動できるのよ!? ていうか、また背景が透けて見えてるんだけど!? 二人して透けないで!」
無言の世界から帰還したオレリアさんが絶叫する。
ミミが驚くので止めて欲しいんだけど……。
「そうなんですか? 出来ちゃいましたけど」
発動しちゃったんだから、しょうがない。
そもそもミミは従魔じゃない。やっぱり精霊だからかな。
「…………」
再びこめかみを押さえて黙り込むオレリアさん。
ミミが名乗魔法を使えるのが、そんなに珍しいのだろうか。簡単そうにやってたけどな。
「というか、貴方……強いわね? 見た目がほんわかしているから騙されたわ。どうりで色々おかしいわけよ」
と、オレリアさんが鋭い視線を向けてくる。
むむ、何かに気づいたのだろうか。
でも面倒臭いから話題を変えて誤魔化そう。
「無事、名乗魔法も覚えましたし、次は生活魔法ですよね!」
次のステップは生活魔法。
ここはレッスンの話題で盛り上がり、俺の強さに関しては忘れてもらおう。
俺はワクワクしながら、オレリアさんの説明を待つ。
「魔力点火、魔力製水、魔力製氷、魔力清掃、魔力温風。まあ、こんな感じ。私が知っている生活魔法はこれだけよ」
フゥ、とため息を吐いたオレリアさんは、呟くように早口で魔法名を唱えた。
すると、指先からライターを使ったように小さな火が出る。
次に手のひらからチョロチョロと水が出た後に、ピンポン球ほどの氷がコロンと落ちる。
そして全身がサラッと綺麗になる。
最後は俺の方に温かい風が吹いてきた。
全てを終えると、ハイハイと言った感じで肩をすくめる。
酷くやさぐれてるんですけど……。




